ソウル市松坡区新川洞の「蚕室ロッテワールドタワー」は先月、最上部の尖塔構造部分の工事が終了し、地上123階、高さ555メートルの韓国最高層、世界5位の巨大高層ビルの外観が姿を現した。しかし、そこには「知られたくない真実」がある。
75万トンの建物の重さに耐えるための基礎設計は英アルップ社、その基礎の上に19万5,000平方メートルのコンクリート、4万トンの鉄骨を組み上げる建物設計は米KPFとレラ社、風速80メートルの強風に耐えるための風洞設計はカナダのRWDI(社、合計2万個のガラス壁を取り付ける外壁工事は日本のリクシルと米CDCがそれぞれ担当した。「韓国の建築技術の集大成」かと思われたロッテワールドタワーは実際には外国企業の手で建てられたものだ。
建設業界関係者は「事実上、コンクリートと鉄筋だけを我々の手で組み上げた格好だ。韓国の建設会社が海外に建てた数多くの高層ビルも実情は同じだ」と明かした。
ロッテワールドタワーは、独自技術なしで見た目の成長にばかり執着してきた韓国産業の限界を象徴している。
韓国は1993年に造船受注世界1位、94年に世界初の256メガバイトDRAM開発、95年に世界5大自動車生産国入りなど「製造業大国」の陣列に加わった。しかし、その虚像が建設、造船、スマートフォン、液晶ディスプレー、鉄鋼、自動車など主力産業の至る所で露見している。20年間の「製造業神話」は崩れつつある。
中国の液晶パネル業者、京東方科技集団(BOE)は昨年12月、安徽省合肥市に第10.5世代のパネル工場を着工した。現在第8世代が主力の韓国を2段階乗り越え、かつて韓国製テレビが日本のソニーを追い越すのに決定的な役割を果たした韓国の液晶ディスプレー産業に追い付いた格好だ。通信設備事業でも中国に圧倒され、1996年にCDMA方式を世界で初めて商用化した名誉は色あせている。