「韓国の産業界は他人の技術を追いかけて先頭まで来た。しかし、これ以上突き進んでいく実力や推進力は皆無の状態だ」
韓国工学界の第一人者、ソウル大学工学部の李建雨(イ・ゴヌ)部長(61)=写真=は先日の本紙インタビューで、「このような状態が続けば、サムスンや現代自動車といった韓国経済を支える企業も、ノキアのように一朝一夕にして崩壊してしまうかもしれない」と言った。李工学部長は目を赤くして「最近の韓国経済の現実を思い、韓国の学生たちの将来を考えると眠れない」と言った。
そして、李工学部長は「韓国産業界に根深く浸透している『模倣・改良精神』が韓国の行く手を阻んでいる。企業オーナーたちに会うと『私たちの目標は2位だ』と話す。『1位の企業がやることを見て、その後を追いかけさえすれば安全だ』と考えているからだ。大企業の新事業について調べてみると、グローバル企業とは比べものにならないほど安全志向だ」と話した。韓国企業は外国企業を一生懸命に追いかけて1位になったが、まだ過去の成功方程式から抜けられないということだ。
李工学部長はまた、「財務の健全性ばかり維持しようという経営では将来がない。韓国の業界が直面している危機は、高付加価値の核心技術、すなわち創造的な概念の設計能力がないことだ。この能力は金を払ってすぐ買えるものではなく、長年の試行錯誤を経て経験と知識を蓄積するものだが、韓国企業は依然として他人のまねをするベンチマーキングを最高のやり方だと思っている」と言い切った。
解決策を問うと、「ツートラック(two track)戦略」という答えが返ってきた。これまで通り、既に成功した技術や製品に迅速に追いつく「ファスト・フォロワー(Fast Follower=高速追撃)」戦略は維持するが、経験の蓄積が必要な将来の分野では今からでも常に挑戦し、また失敗の経験を積んでいかなければならないというのだ。
李工学部長は「オープンでクリエーティブなベンチャー企業が韓国の業界の変化をリードすべきだ。(そのためには)企業・政府・学校など、すべての集団が力を合わせてクリエーティブな蓄積を目指す社会システムと文化を構築しなければならない」と述べた。