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第1話、この広い世界の真ん中で
私の生活はぬるい惰性の上に成り立っている。朝は起きたくもないのに起きる。食欲が無くても身体に食べ物を詰め込む。汗と加齢臭が充満する満員電車の中に揺られ、やりたくもない仕事をする。全て惰性だ。何となくで続けているに過ぎない。
彼氏、雅樹との関係だって惰性に過ぎない。大学の時に付き合ってもう6年になる。あの頃の気持ちはもう無い。ずるずるとここまで来てしまった。惰性で彼とデートをして、惰性で彼とご飯を食べて、惰性で彼とセックスをする。そんなことの繰り返しで、惰性で彼と同棲までしている。いつかは結婚するんだろうなっていう諦めが私を支配している。
けれども、そのぬるい惰性はとても居心地の良いものだ。どこかで刺激を求めている私と、このぬるま湯に浸かっていたい私の両方がいる。要は新しい世界に踏み出す勇気がないだけだ。そんな時に私はあの男、裕也と出会った。
一方そのころ、ゆうすけはデパートの売り物のベッドで爆睡していた。
「ハァハァ……ブス子さん」
夢の中でゆうすけはブス子さんとセクースをしていた。夢の中のブス子さんはゆうすけの望むプレイを何でもしてくれた。
「ブス子!おいらの子供を産んでくれ!ブス子!」
ゆうすけの腰の動きが速くなる。
「ハァハァ……ハァハァ……」
夢の中のゆうすけと同調するように、現実のゆうすけも無意識のうちにチムチムをこする手の動きを速めていく。
「イクぞ!ブス子!KAGEROU!ブレイクアップ!」
ドビュ!ドビュルルルル!
「マー!」
ゆうすけとブス子さんは同時に果てた。
「んっ……」
ゆうすけはブス子さんに触れるような優しいキスをする。ブス子さんはそれを受け入れる。2人は静かに抱き合って、まどろみの世界へと堕ちていった。
そこで夢は覚めた。
「ブス子さん!?……はっ!ここは……?」
ゆうすけは股間がひんやりとしていることに気がついた。夢の中のセクースによってゆうすけは射精してしまった。そのため、プリキュアのパンツはベトベトになっていた。
「しょうがないなぁ」
ゆうすけはパンツを脱いだ。
そのころ、デパートの中には客どころか従業員すらもいなかった。このデパート内に爆弾が仕掛けられているという通報があり、皆避難していたからだ。
もちろんベッドの中で爆睡していた池沼のゆうすけが知る由もなかった。
時限爆弾のタイムリミットは、残り30分を切っていた。
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