「モテブス」は「ヤリマン界一の処女」くらい違和感がある言葉
今回のお題は「モテブス」。
ブスは愛されたいのか? 愛されるブス、モテるブスならいいのか? ブスはどうなりたいか? というテーマだ。
深い話になりそうな、テーマである。
ネットは基本的に、真面目なことを言えば言うほど叩かれる率が上がるという地獄なので、できれば深い話はせず「からあげうまい!」というようなことを延々言い続けて金をもらいたいと思っているし、それがダメなら何も書かずに金をもらいたい。
そもそも「ブス図鑑」というタイトル自体、攻撃的すぎる。これだけでも、女性の権利に厳しいお方が、モンゴルの平原より巨万の兵を率いてこちらに攻めてくる姿が見える。
もし、そうなったら「ブスの私が書いているから、ブス図鑑だ」と申し開きするつもりだ。おそらく、顔に説得力があるので、納得してもらえると思うし、逆に「それは失礼つかまつった」と巨万の兵に頭を下げられる予感がする。
よって今からでも、その毒性を緩和するため「からあげブス図鑑」に改題すべきじゃないかと思うが、今度は「からあげブス」の方に怒られる可能性がある。どんなブスなのかわからないが、絶対にいそうなブスである。
話は逸れたが「モテブス」。これは「ヤリマン界一の処女」くらい違和感がある言葉だが、いないこともない。
現に「あの子、ブスなのにモテるんだよね」と言われている女がいると思う。まず、そう言っている女の顔が、そいつの人生の中で1~2を争うブス顔をしていると思うので、記念に写メってあげよう。
そして「ブスだけどモテる」と言われている女は、大体5億%ブスではない。女が女を「ブスだ」と言うときは「こいつ、なんか女として気に入らねえ」と思って言っている場合が多いため、「男から見て、何らかの魅力がある女」である可能性の方が高いのだ。
女は本当のブスに「ブス」とは言わない
逆に、女は本当のブスには「ブス」とは言わないし、むしろ下に見ることができる分、優しく接する。だから「今度の合コン、超かわいい子連れていくよ」と言いながら、100カラットブスを持参するという、鬼畜の所業を平気で行うのだ。
「(マウンテンゴリラから見て)超かわいい子連れていくよ」という意だったのかもしれないが、そこを略してはいけないだろう。どうせ略すなら、「マウンテンゴリラ連れていくよ」の方が結果的に正しいことになっている。
見た目がそんなにイケてなくても、内面や他の能力でモテる女というのはいるが、やはり顔面のハンデがでかいほど、それをカバーするスキルも高くなければいけない。
つまり「誰もが認めるブス」がモテようと思ったら「故郷の村を焼かれても怒らない」とか、「二兆円持っている」ぐらいのレベルにならないと難しい。よって、結局ブスがモテるというのは、美人がモテるのに比べたら断然ハードモードなのである。
しかし、ブスはモテないから幸せになれないというわけでもない。まず、ブス含め女が全員「モテ」を目標に生きているわけではないからだ。
もし、「足の指毛からクリーンエネルギーを作る研究に一生を捧げています。異性? 興味ないですね」と言いながら、白衣姿で銀縁メガネを中指で押し上げるブスがいたとしたら、とりあえず「優勝」と言う他ない。モテなくても他に生きがいがあれば、いくらでも幸せになれる。
また、恋愛、結婚においても、全世界の男に「爆笑 or 無言」というリアクションを頂戴する顔の女でも、たった一人、自分にピッタリ合った男か石油王に見初められれば幸せになれることもある。
確かに、モテた方が選択肢が多く、より質のいい男を選ぶことができるかもしれないが、美人だからといって男を見る目があるとは限らない。それに100人の男に好かれたら、その内10人くらいはスカトロマニアだろう。世界人口に対するスカトロ愛好率がわからないので適当に言ったが、つまり分母がデカければデカいほど、その中にヤバい奴が混ざる率も上がるし、それを選ぶ率も上がる。また、選ばなくても、その中に一人、八つ墓村系男子がいたら、人生が終わる(隠喩ではない)。
つまり、モテるというのは悪い虫もたくさん寄ってくるということだ。その点、ブスは本物の虫しか寄ってこないため、たまに顔面に蛾が体当たりしてくることはあるが、それもヤバい男に捕まることに比べれば大したことではない。
「疑心暗鬼のブス」というのは、かなりキツい
しかし、せっかく異性に好意を寄せられ、つきあったとしても、ブスはブスゆえに自爆してしまい、ベジータに「汚なすぎるにもほどがある花火だ……」とドン引きの表情で言われてしまうこともしばしばだ。
もちろんブスすぎて、それを見続けた交際相手にちょっとずつヒ素を飲まされたかのような症状が現れ始めたから、というわけではない。
異性に好意を寄せられ、それに慣れていないがゆえに「こいつ何か裏がある」「騙そうとしている」という思い込みから、いちいち相手を疑ってしまうのだ。
「疑心暗鬼のブス」というのは、かなりキツい。自分がとても自然界の物とは信じられないような顔をしているくせに、そんな奴に逐一気持ちを疑われたら、さすがに相手だって嫌になる。
また、ブスをこじらせすぎて「ブスの私を好きになってくれるのは、この人しかいない」と思い込み、相手の言いなりになってしまったり、相手に全く自分の要望を言えないというのも「ブス恋愛あるある」だ。
よって、ブスは「今日は、両鼻にカナブン詰めて欲しい気分なの……」等の些細な希望すら相手に言えないのだ。これは不幸だ。ただ、カナブンだけは助かった。
これがモテる女だったら、仮にそれを拒否されても「あたいの鼻にカナブン詰めたい男なんざ、星の数ほどいるんだよ!」と啖呵を切って、シャネルのコートを翻しながら部屋を出て行けるはずである。こればかりは、モテへの大敗北を認めざるを得ない。
結局、朝起きたら突然「モテるブス」になっていたとしても(そういう奇跡が起きるなら、なんで「モテない美人」にしてくれないんだと思うが)、内面が卑屈、疑心暗鬼のままなら、幸せにはならない。
つまり、ブスを幸せにするのは単なるモテではなく、その先にある自分。そして、相手を信じる心だ。鏡に映っているのは紛れもないモントーク・モンスターだが、彼から見れば河北麻友子(NYつながり)なのだと信じる心。
彼が懐から突然イルカの絵や500万の壺を出してきても、怯まぬ強い精神力が必要なのである。