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経費と認めて課税取り消し判決 東京高裁

菊池裁判長「外れ馬券含む一連の馬券購入に経済活動の実態」

 競馬の外れ馬券の購入費を経費と認めなかった国税当局による所得税の課税処分は違法として、北海道の男性が約1億9000万円の課税取り消しを求めた訴訟の控訴審で、東京高裁は21日、訴えを退けた1審・東京地裁判決を取り消し、経費と認めて課税を取り消す原告逆転勝訴判決を言い渡した。

     菊池洋一裁判長は「男性には馬券を有効に選ぶノウハウがあり、恒常的に多額の利益を上げていた。外れ馬券を含む一連の馬券購入には経済活動の実態がある」と認定した。

     所得税額は収入額から、収入を得るために使った費用を必要経費として差し引いて算定される。このため的中馬券だけでなく、外れ馬券の購入費も経費と認められるかが裁判で争われてきた。最高裁は昨年3月、他の脱税事件の刑事裁判で、コンピューターで自動購入したケースについて「長期間にわたり網羅的に馬券を購入し利益を上げ続けた場合、外れ馬券も必要経費に当たる」との判断を示した。

     今回の訴訟で1審判決は「男性がどのように馬券を買うか個別に判断している」として訴えを退けた。これに対し2審判決は、男性が馬や騎手のデータ、予想的中率や配当金額まで検討した上で馬券の購入パターンを考案し、6年間にわたって利益を上げていた点を重視した。その上で「最高裁判決の馬券購入方法と本質的な違いはない」として、外れ馬券を含む購入費全額を経費と認めた。

     判決によると、男性は2005〜10年に計約72億円分の馬券を購入し、計約78億円の払い戻しを受けて計約5億7000万円の利益を上げた。

     男性は「主張をご理解いただき感謝している」、札幌国税局は「主張が認められず残念」とコメントした。【伊藤直孝】

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