「黄金伝説」展
2016年4月1日〜5月29日
愛知県美術館
社説三菱自 燃費不正 車をつくる資格なしリコール隠しで母子三人の死傷事故まで起こした三菱自動車で新たな不正が明らかになった。自浄作用の働かない企業に命を乗せる車をつくる資格はない−消費者の一人としてもそう言いたい。 二〇〇二年一月、横浜市で起きた事故は忘れられない。三菱自動車製の大型トレーラーの左前輪、直径一メートル、重さ百四十キロもあるタイヤが外れて転がり、ベビーカーを押して歩いていた母子を直撃、当時二十九歳の母が死亡し幼い子ども二人がけがをした。 三菱自動車はトレーラーを所有する運送会社の整備不良と主張したが、欠陥隠しが明らかになり、業務上過失致死傷で当時の市場品質部長ら責任者の有罪が確定している。 この事故以外にもさまざまなリコール隠しが明らかになり、かつて名車ランサーなどを生み出した三菱の名は地に落ちた。 燃費競争を背景にした今回のデータ改ざんは、命に関わる不正ではないが、深刻な事故の教訓を生かせず、法令を守らない企業の体質、姿勢はとうてい是認できるものではない。 一連の不祥事は、閉鎖的な企業体質が背景にあると指摘されてきた。三菱グループという日本最大の企業集団に属し、好不況にかかわらず系列企業や下請け会社、関係者が販売を支え、外に目が向きにくい。〇〇年以降のリコール隠し問題でも、経営が急速に悪化すると三菱重工業、三菱商事などが優先株を引き受けて支援し経営再建が進められた。しかし体質は全く変わらなかったようだ。 多くの命を乗せ、多くの活動に関わる自動車を製造販売する企業の不正は消費者への重大な裏切りである。事実関係と経営責任を明確にしなければならない。 日本が世界でトップのシェアを持つ自動車産業は今、歴史的な転換点を迎えている。人工知能(AI)の急速な進歩で、二〇年には自動車はハード(機械)ではなく、ソフト(AIなど)が半分以上の価値を持つ製品に変貌するとみられている。 今後、巨額の投資と世界で競う変革ビジョンが必要になり、自動車メーカー八社が激しい競争を繰り広げる日本では早晩、業界再編が避けられない。 消費者、ユーザーの厳しい目が生き残るメーカーを決める。自浄作用の働かない三菱自動車は、消費者に引導を渡される前に市場からの退場を検討すべき時かもしれない。 PR情報 |
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