今回は他記事ではあげられていなかった一冊完結の漫画を紹介していきます。
というのも、適当に「短編 お勧め」などで検索しても、紹介されている漫画は殆ど被っています。更に言えばああいった列挙形式のブログはお勧めの理由を書かない(または一言)のパターンが多く、勿体無いなという気持ちもあるので、他とは違った切り口で僕が書いていこうかなというのが主旨です。
ここでいうマイナーの定義は「一冊完結 お勧め」などで検索した結果の1ページ目にでてくる記事では紹介されない「一冊で話が完結している・短編集になっている本」を対象にしています。
紹介したかった漫画の中には「マンガ図書館Z」で無料で読める本もありましたが、そちらは前に書いた記事内であらかた紹介していますので、興味が有る方は過去記事も参照して欲しいです。
■かわいいアリスの世界
オタクといえば「不思議の国のアリス」モチーフの作品が好きです。男女問わずに受け入れられる世界観に、興味津々で元気に跳ねまわる金髪ロリっ子。僕も一時期は熱中しアリスモチーフのロリ系写真集(少女アリスです)まで購入しましたが、現在では児童ポルノ扱いで発禁になってしまい、Amazonからも存在を抹消されました。合掌。
・ときめきアリス
「吾妻ひでお」先生のロリータ短編集です。吾妻ひでお先生の「失踪日記」あたりはどこも紹介しているのですが、飽くまで吾妻ひでお先生の持ち味は「ロリコンブーム」を語るに外せない神秘性を持った少女です。
本書はアリスという名前のロリータ達が、それぞれ数奇な環境で冒険したり、時には男の人に犯されたりと、それぞれ全く違った話の短編集になっています。
このページは人形サイズの小さなアリスちゃんの話です。彼女は精液を求めて歩いているので、主人公である青年に手コキや挿入を何度も求めますが、サイズの問題でどうしても床オナのような気分になるという理由で相手にされなくなります。
その後は猫なりおっさんなりの精液を飲むため、手当たり次第フェラチオしていく……と、この説明だけでかなりの異常シチュが登場しました。
この本の魅力はオマケページのイラストも大きいです。流石サブカルとロリータブーム古参だけはあり、今の流行イラストへの強い影響を感じさせます。吾妻ひでお先生のSF好きを上手くロリータとミックスされていてセンスが光る。
ときめきアリス―定本 (LEGEND ARCHIVES―COMICS)
- 作者: 吾妻ひでお
- 出版社/メーカー: チクマ秀版社
- 発売日: 2006/06
- メディア: 単行本
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・A・LI・CE
こちらは吾妻ひでお先生の本とは真逆で、ハードな世界観のアリスです。俯いた表紙のアリスちゃんが漂わせる雰囲気にピンときたら是非。
「銃夢」や「AKIRA」を彷彿させるディストピア寄りなSFの世界に、アリスちゃんはどんどん巻き込まれていきます。木崎ひろすけ先生自身も癖のあるお人柄だったようですし、並の作家では絶対に表現できないストーリーと読後感を是非体験して下さい。
A・LI・CE (角川コミックス・エース・エクストラ―Hirosuke Kizaki memorial edition)
- 作者: 木崎ひろすけ,吉本昌弘
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2001/09
- メディア: コミック
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・オマケ
アリス関係のお勧めでは、コミックではないですが、ペーパーブック「Alice's Adventures in Wonderland and Through the Looking Glass」は、イラストが非常に可愛らしく、アリス好きなら見逃せない一冊です。早く外人のイラストもオタクが射精し易い画風だらけになると良いですね。
Blond hair Lolita is good……(金髪幼女いいよね……)
— にゃるら (@nyalra) 2015年1月2日
Good……(いい……) pic.twitter.com/budAcQcWN2
Alice's Adventures in Wonderland and Through the Looking Glass
- 作者: Lewis Carroll,Kriss Sison
- 出版社/メーカー: Seven Seas
- 発売日: 2014/08/19
- メディア: ペーパーバック
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■ホラー漫画
・人造人間の怪
最近は「呪みちる」先生の初期作品を纏めた短編集が数冊でまして、プレ値で手が届かなかった呪みちる先生のファンには非常に喜ばしいです。
呪みちる先生の作風はグロ多めの古き良きホラーです。元はギャグ漫画家を目指していたらしいのですが、このグロテスク描写を見る限り、ホラーを選んで正解だったと思います。ホラーとギャグは紙一重なだけはあり、短編集の中にはギャグ寄りの作品もあります。
画像は「人造人間の怪」収録作品の中で一番好きな「青空の悪魔円盤」。自己で脳にウニを寄生されてしまった主人公が、発狂して空飛ぶ円盤の危険性を命を賭けて人々に伝えようとしていく救いようのない話です。救いのない鬱屈とした短編は呪みちる先生の持ち味ですね。
ホラー漫画のお約束として、アブノーマルな恋愛要素も多いです。画力が高いだけに、登場する女の子は使い捨てが勿体無いくらいに可愛いです。あと、そういう性癖なのかふたなりモノも多い。
・怪盗ミルク
高橋葉介先生の作品はどれも大好きな上に基本短編集なので悩みました。
元は「ミルクがねじを回す時」という初期に描いた短編から持ってきたキャラです。「時間」だろうが「記憶」だろうが何でも盗めるミルクちゃんに巻き込まれていく人間たちのオムニバス。
高橋葉介先生と言えば、一見関連性のない短編が、最後の最後で繋がっていく構成が見事です。そう言った意味では「夢幻紳士」が一番なのですが、美少女のキャッチーさで「怪盗ミルク」が入り易いかなと。
因みに初期のミルクちゃんは、今の画風より更にロリロリしています。こちらは「新装版 腹話術」収録。
高橋葉介先生の初期の絵柄は、他では出せないオーラの塊なので、その辺りの作品もぜひ読んでもらいたいです。
高橋葉介の幻の初期作品の「新しい人形」、幼女が不要になった古い人形を切り刻んで遊んでいたら、新しい赤児を抱いた母が包丁持って帰ってくる猟奇的なオチが最高で、何より初期の絵柄の妖しげな色気を感じさせる幼女可愛すぎるので是非読んで下さい pic.twitter.com/f8Fh2RW3bl
— にゃるら (@nyalra) 2016年3月11日
ツイッターで反響があったこの話は、こちらに収録されています。
■恋愛漫画
和姦では絶対に射精しない僕ですが(突然こんな暴露されても困惑するでしょうが)、そんな人間が選ぶこそ出る深みを感じて下さい。
・薔薇だって書けるよ
「売野機子」先生のレビュー作である短編集。表題作である「薔薇だって書けるよ」は、発達障害でイマイチ飲み込みが悪い奥さんと、その愚鈍な奥さんに対し日々鬱憤を溜めていくインテリの夫が、付き合った頃の愛を取り戻していく話。
普段はレイプモノの漫画しか読まないので、愛情という感情を理解できなかった僕ですが、「売野機子」先生の短編集で初めて愛を知り涙を流したものです。
ほろ苦い青春ストーリーの「日曜日に自殺」。同性愛の苦悩を描いた「オリジン・マイ・ラヴ」など、非常に読み応えのある一冊になっております。
・いばら姫のおやつ
アニメーター出身で、大張正己さんの元妻でもある「石田敦子」先生の作品。
こんな大道寺知世ちゃんのような風貌の少女が、誘われると誰とでもオフパコするなんて昂奮が収まらないですね。少女漫画然とした可愛らしいタッチのギャップで余計に勃起してしまいます。
真面目な話をすると何故このような可憐な少女が、そんなビッチ紛いの行動を続けるのか、彼女の心の隙間とは一体なんなのか。ツイッターに蔓延るネット中毒の女性なら、共感できる部分もあるのではないでしょうか。
・純粋培養閲覧図
短編が多い少女漫画家の「望月花梨」先生の短編集。
複雑な家庭で生まれ自己表現が苦手になってしまった主人公と、愛情表現が苦手という不思議な少女の出会いの物語。ありがちな少女漫画家の恋愛模様とは違い、繊細で鬱屈とした思春期の心情を切り取ります。
望月花梨先生の作品は数冊続いた「笑えない理由」もお勧めなのですが、短編もまた少女漫画のフォーマットとズレた一癖ある内容が多いですので、センチメンタルな気分に浸りたい時に読むと、効果あったりなかったりします。
■作者の異常性が際立つ漫画
・貧困魔境伝ヒヤパカ
一部でカルト的人気を誇る「山野一」先生の短編集。貧困や差別、障がい者などを題材にするため過激な表現が多く、健やかに育ってきた人が何かの間違いで読んでしまうとまるで「キャベツ畑やコウノトリを信じてる女の子に無修正のポルノを突きつけた時」のようになってしまうこと間違い無しです。
まずは印象的なシーンを紹介していきます。
ニーチェの引用からいきなり家政婦の乳房を乗せたご飯が登場して度肝を抜かれます。ちなみに僕がこのシーンを初めて見た時「目玉焼き丼なのかな?」と普通に思ってしまったことはナイショです。
勝手に貧乏人を分類した上に「1番貧乏そうな家の前に止めろ」という傲慢さのパラメーターがカンストしてるセリフがヤバいです。ちなみに貧乏人が3パターンに分類されていますが、僕は楽天カードの審査に落ちたので凶暴型か悲愴型のどちらかに違いありません。
とにかく不謹慎だったり不条理だったり、既存の善悪の基準や常識などに囚われない過激な作品を求めている人にオススメです。
山野一先生の本は入手し難いので、まずは安価で在庫のある「四丁目の夕日」から購入をお勧めします。
・よしもとよしとも 珠玉短編集
「青い車」の方は、Amazonでもレビューが多く、マンガ批評サイトなどでも名前が挙がるのですが、こちらの方はAmazonのカスタマーレビューも0で、話題になっている所を余り見かけません。非常に勿体無い。今で言うモテる系のサブカルに推されていた作家です。
中でも一番好きなのは「おはようこんにちは」という幼稚園のプリントのようなタイトル。
自分の妻が浮気している現場を抑えた夫。性的なページははてなブログに貼れないので、一番紹介したいシーンをお届けできないのですが、この後二人を縛り間男に見せつける形で妻をレイプする寝取られ返しは圧巻。
その後奥さんはそういった性癖で敢えて夫にバレるように仕向けたと告白。ここだけならまだ予想できますが、間男まで旦那が好きだったというホモオチ。次のページで旦那の使用済みブリーフをプレゼントしてあげるシーンでは、感動していいのか泣くべきなのか判断に困ります。
「人の性癖って難しいよね」というお話でした。
■サンデー作家
正直ジャンル分けが難しかったので、取り敢えずサンデー作家で纏めました……。
・高橋留美子傑作集 Pの悲劇
僕は「高橋留美子」先生の大ファンです。高橋留美子キャラで射精した回数では滅多に負けないでしょうし、「めぞん一刻」を初めて読んだ小学生の頃、「オナペット」の意味がわからずお母さんに訊いた記憶があります。
さて、高橋留美子先生の短編といえば「人魚の森」が真っ先に出てくると思われますが、ここは敢えて傑作集の一つから選びました。
「Pの悲劇」を選んだ理由は「浪漫の商人」が収録されているからです。
経営難の結婚式場を経営するバツイチの女性が、未だに優しくしてくれる元夫と生意気な従業員の若者の間で揺れながら、本当の幸せについて考える「めぞん一刻」をコンパクトにした感じの短編。
「めぞん一刻」が好きなら必ず読むべきと言っても過言ではない作品。因みにあだち充先生と高橋留美子先生がコラボし、お互いが漫画家を目指すまでのエピソードが収録された「鏡が来た」もファンなら必読。
昨日出た高橋留美子の短編集に、あだち充とのコラボでお互いの生い立ち漫画が載っていて、あだち充は池上遼一の読み切りに影響され、更に高橋留美子がこの時のあだち充の読み切りに嫉妬し作品を書き出し、そこで高橋留美子の新連載に打ちのめされた島本先生のアオイホノオに繋がるので、サンデー凄い
— にゃるら (@nyalra) 2015年7月23日
Pの悲劇 (Big comics special―高橋留美子傑作集)
- 作者: 高橋留美子
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 1994/01
- メディア: コミック
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今でもツイッターの同人作家たちにバイブル扱いされている「吼えろペン」。
ネットでよく見る炎尾燃先生の熱い名言に勇気を貰った作家も少なくないと思われますが、炎尾先生の台詞は大抵、締め切りを過ぎた自分への自戒やテンションで誤魔化しただけの言い訳だったりします。そんな所も含めてリアルな漫画家事情を描いた名作。
本書はそんな「吼えろペン」の傑作選です。ただの傑作選でなく、本邦初公開の描きおろし最終回が載っているのです。
本編の最終回は大人の事情を感じるような、はっきり言ってこれまでの内容にそぐわないような終わり方でした。島本先生本人も何度も反省している程です。しかし、そこは矢張り炎尾燃の分身である島本先生。それを踏まえて誌面連載時の「大人の事情」に揺さぶられなかったバージョンの最終回を描き下ろしてくれました。「吼えろペン」自体は有名ですが、この最終回を未読な方も多いのではないかと。
同人作家や漫画家、またはそれを目指す人達なら絶対に読むべき一冊です。まぁ僕はそのどれでもないのですけど……。
・(有)椎名大百貸展
絶チルやGS美神で有名な「椎名高志」先生の短編集。唯一手元にないので雑な紹介になりますが、椎名高志先生らしいパワフルな一冊。GS美神の外伝的な短編もありますので、懐かしい気持ちで読めます。
■画力がすさまじい一冊
・ストレニュアス・ライフ
ビームコミックスで連載している「丸山薫」先生が描く「働く人」をテーマにした一冊。作者名が花山薫に似ているのでイメージが引っ張られがちですが、非常に可愛らしい内容。
例えば歯医者として働く獣人だったり、
怠惰な仲間たちと旅する桃太郎だったりと、多種多様な職業の登場人物が織りなすオムニバス形式。共通していることは、どの話も背景まで細かく書き込まれていることと、登場する女の子が可愛いこと。鍛え上げた画力のなせる業ですね。
先述した高橋葉介作品のように、一見なんの関連性もない短編達が、最後にまとまっていく構成は流石の一語に尽きる。
ストレニュアス・ライフ<ストレニュアス・ライフ> (ビームコミックス(ハルタ))
- 作者: 丸山薫
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / エンターブレイン
- 発売日: 2014/03/17
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・惑星さんぽ
元アニメーターでありイラストレーターでもある「toi8」先生のフルカラー大型本。
カバーイラストから充分伝わると思われますが、何と言ってもカラーで魅せる圧倒的な画力が魅力。
荒廃した中野ブロードウェイの書き込み量は度肝を抜かれます。童心に帰ったようにワクワクしてきますね。
そんな「惑星さんぽ」の中でも好きな作品が「鬼ごっこ」。
国の未来を賭けて宇宙人の女の子と、無作為に選ばれた一般女性がおにごっこで対決するという高橋留美子チックな漫画。まぁまんま「うる星やつら」モチーフなんですが。
先述したように高橋留美子先生のファンとして「うる星やつら」の1話を百合作品としてアレンジした解釈には手放しで絶賛。全体的にセリフ量が少なく、イラスト集に近い一冊な分、手元に置いておくと何度も読み返したくなります。
・回螺
インターネット的には「Serial experiments lain」で有名な「安倍吉俊」先生の大型フルカラー本。
非常に重く鬱々とした内容が続き、「リューシカ・リューシカ」や「ニアアンダーセブン」で知った人には衝撃な一冊。安倍吉俊先生の陰々とした画風とダークな世界観はこのブログの読者ならハマる人も多いはず。
のほほんとした雰囲気の安倍吉俊を読みたいなら、先ほど名前を挙げた「ニアアンダーセブン」をお勧めします。こちらも新装版では一冊完結で、のほほんとした宇宙人同居生活を堪能できます。
余談ですが、去年の安倍吉俊展最高でした。
もう灰羽連盟のイラストが飾られている所を観る事なんて滅多にないでしょうし、貴重な機会だった pic.twitter.com/qmuzeLAiSN
— にゃるら (@nyalra) 2015年10月4日
安倍吉俊展来たんですけど、ニアアンダーセブンや灰羽などのイラストが買われて行く中、一枚だけ飾られていたlainの絵だけ不動の完売をしていてカッコよかった pic.twitter.com/yK4RECOzWp
— にゃるら (@nyalra) 2015年10月4日
回螺 (WANI MAGAZINE COMICS SPECIAL)
- 作者: 安倍吉俊
- 出版社/メーカー: ワニマガジン社
- 発売日: 2008/06/26
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冬目景らしいアンニュイな雰囲気漂う青春漫画。
表題作である「僕らの変拍子」は、ハーブにハマっている少女と、その女の子に惹かれてヤクな世界に入っていく主人公の話。インターネットでサブカルメンヘラ芸している人たちにお勧めですね。
個人的に好きなのはToHeartのマルチシナリオの元ネタと言われている「現国教師RC-01」。 短い内容ですのでネタバレ防止の為内容に触れませんが、アンドロイド少女が好きなら必ず読み応えがある筈です。
冬目景先生の作品も好きで集めていますが、先に紹介しようと思っていた「文車館来訪記」が既に紹介されていたのでこっちにしました。
カバーイラストは新装版と旧版で2つありますが、内容は恐らく変わらないのでおこのみで。
如何でしたでしょうか? 他のブログで紹介されていなければ、もっと紹介したい漫画が沢山あったのですが、マイナー縛りならこの辺りをまずオススメします。それでは今日はこの辺で。オワリ
気楽に殺ろうよ (小学館文庫―藤子・F・不二雄〈異色短編集〉)
- 作者: 藤子・F・不二雄
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 1995/07
- メディア: 文庫
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