排ガス不正問題はどうなったのか
VW(フォルクスワーゲン)社の不正ソフト事件が明るみに出てから7ヵ月が過ぎようとしている。ところが未だに社内で犯人の見当さえ付かないらしい。
監査役会(取締役会を監督する機関)が、真相究明のために依頼したのは、アメリカの「ジョーンズ・デイ」(全米最大の法律事務所)だが、彼らにもまだ不正の全貌が見えず、特定の課やら何人かの社員を疑うところまでしか行っていないという。
VW社の不正ソフトとは、排ガス検査の時だけ、窒素化合物など有害物質の排出を少なくすることができるという優れものだ。これをVW社は7年以上も、自社のディーゼル車に搭載し続けた。
これによって排ガス検査は合格したものの、普通の走行時は、検査時の10倍から40倍もの有毒物質を排出したというのだから呆れた話だが、VW社はそうした車を「クリーン・ディーゼル」と銘打って、排ガス規制の厳しいアメリカで売りまくった。
化けの皮が剥がれたのは昨年の9月。11月になると、窒素化合物だけでなく、二酸化炭素についても不正が見つかり、今では、アメリカ当局への制裁金だけで5兆円を超すのではないかといわれている。
今年1月には、アメリカの司法省が、大気浄化法違反でVW社に対して民事訴訟を起こした。同省はそれと並行して刑事訴訟の準備も着々と進めている。また、2月には集団訴訟手続きも始まり、全米で約50万人の原告が損失補填を求める予定という。
一方、VW社の車の売り上げも落ちた。ドイツ国内での落ち込みはそれほどでもないものの、アメリカでの今年第一四半期の売り上げは、去年比でマイナス12.5%。南米とロシアは、それぞれマイナス31.3%、マイナス12.5%とやはり大きく落ち込んでいる。
頼みの綱は中国で、VW社が第一四半期に売った72万2800台の車両のうち、約半分が中国向け。まさに中国サマサマだが、この依存度は危険かもしれない。というわけで、VWの故郷、ドイツのニーダーザクセン州の空は黒雲に覆われたままで、陽の光はまだ見えない。従業員の間では、賃金カット、リストラの懸念が膨らんでいる。
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