ソウル=牧野愛博
2016年4月21日06時31分
昨年末の慰安婦問題に関する日韓両政府の合意に基づき、韓国で今月末にも、元慰安婦を支援する財団の設立に向けた準備組織が発足する見通しになった。複数の日韓関係筋が明らかにした。準備組織の公式な活動が順調に進めば、5月中にも財団設立の準備が整うとみられ、日韓合意の履行が本格化することになる。
元慰安婦を支援する財団については、昨年12月の日韓外相会談で、韓国政府が設立し、日本政府が10億円を拠出すると合意した。今後、日本がいつ拠出金を支払うかも焦点になる。
韓国政府の委託を受けて、韓国では今年初めに非公式のタスクフォース(作業チーム)が立ち上げられ、財団設立の準備に入った。座長は駐日韓国大使も務めた柳明桓(ユミョンファン)元外交通商相で、大学教授ら民間人10人前後が参加。これまで数回の会議を開き、財団の事業内容や日本との協力のあり方などについて議論を重ねてきた。
今後は、韓国の公益法人設立運営法に基づき、慰安婦問題を担当する韓国女性家族省に財団を登録するなど、公式な活動に移行。財団の事業内容を詰めたうえで定款を作成し、韓国の民間人で構成する財団理事や理事長を選ぶ。設立作業を透明にした方が、日韓ともに世論の理解を得やすいとの判断も働き、タスクフォースの活動をいわば可視化する見通しだ。13日に韓国総選挙が終わり、合意履行をめぐる議論が政治利用されるリスクが減ったことも背景にある。
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朝日新聞国際報道部
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