熊本地震の被災者を支援する義援金の募集が全国に拡大する中、日銀が2月に導入したマイナス金利政策が思わぬ波紋を広げている。地方銀行や信用金庫などに多額の義援金が集まると、マイナス金利適用の影響で金融機関に負担が生じるためだ。日銀は今後の資金の動きを見極め、対応策を検討する構え。
日銀は、銀行などが短期資金を預け入れる当座預金残高の一部に0.1%のマイナス金利を適用している。地元地銀などに多額の義援金が振り込まれると同預金の残高も増加し、マイナス金利の影響で負担が拡大する恐れが出てくる。
仮に銀行が余剰資金を短期金融市場で運用しようとしても、現在はマイナス利回りでの取引が定着しているため、負担が増すことに変わりはない。
政府の復興資金の払い込みが行われると、金融機関へのマイナス金利の影響はさらに深刻になる。被災自治体の指定金融機関である地元の地銀に多額の財政資金が流入すると、日銀当座預金への預入残高の急増が避けられないためだ。
日銀内には「マイナス金利の例外を認めると線引きが難しくなる」(幹部)との声も根強いが、市場からは「被災者の心情を踏まえるとある程度の配慮が必要ではないか」と、例外扱いを支持する意見も出ている。
想定外の地震対応に苦慮する日銀だが、今後はマイナス金利の適用緩和のほか、東日本大震災の被災地に店舗がある金融機関への支援策として始めた資金供給の対象を、熊本地震にも拡大することなどを検討する可能性がある。
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