米ニューメキシコ州・ホロマン空軍基地の第846技術試験隊が、磁気浮上ヴィークルの世界最速記録を更新しました。そのスピードは時速633マイル(時速1019km)。数日前に記録していた時速513マイルを100マイル以上も上回りました。

米軍が開発した機体"MagLev"とは"Magnetic Levitation"の略称。磁気浮上を意味します。この MagLev はソリのような機体に、推進力としてロケットを搭載したもの。実際のところ機体の半分以上はロケットが占めています。

ほとんどロケットだからか、スタートの合図も「Start!」とか「Go!」ではなく「Fire」。機体は一瞬のうちに、もの凄い轟音と煙を残して遥か彼方まで続くレールの上をすっ飛んでいきました。計測された速度は時速633マイル(時速1019.71km)。これは数日前に出したばかりの時速513マイル(時速825.59km)をも上回る結果でした。
テストに使用されたレールは、超電導磁気浮上を実現するため、液体ヘリウムでマイナス269℃にまで冷却されています。液体ヘリウムによる冷却はJRが開発する超電導リニアでも採用されています。またトヨタが昨年公開した超電導ホバーボード「SLIDE」も同じ方式でした。ただ、ロケットを推進力に使うMagLevは米軍しか開発していません。

第846技術試験隊の指揮官Shawn Morgensternは、今後の開発について「機体部分のデザインをリファインする予定だ」と語りました。さらに「使用素材も今より軽量化して、"Go マッハ10"をスローガンとして、どこまで速度をあげられるかを突き詰めたい」としています。

とにかく速い機体を作るのは良いものの、この開発がいったい何に応用できるのかも気になるところ。想像を膨らませれば、地上から宇宙へとのびる軌道エレベータ用ケージとして使えそうな気もします。

ちなみに、テスラ・SpaceXのイーロン・マスクが提唱し、現在米国でテストトラックを建設中の超高速旅客システムHyperloopは、その目標速度を時速760マイル(時速1220km)としており、今回の記録をさらに超えるスピードに挑戦しています。

米空軍、磁気浮上式ヴィークルで約1020km/hの世界最速記録達成。スローガンは『Go!マッハ10』
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