熊本地震 観光にも広がる影響

熊本地震 観光にも広がる影響
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一連の地震の影響で、九州を代表する観光地、福岡県の「太宰府天満宮」では、外国からの旅行者が減っていて、周辺の飲食店では、予約のキャンセルが相次いでいます。
「太宰府天満宮」は、年間800万人の参拝客が訪れ、最近では、中国や韓国などからの外国人旅行者も多く訪れています。
今月14日以降の一連の地震で、施設に被害はありませんでしたが、外国人旅行者や国内の団体ツアー客などが減少しているということです。大宰府天満宮の有吉重幸さんは「具体的な数字はわからないが、見た感じでは、かなり減っている印象だ。新幹線や高速道路が止まり、ツアーが回れないということで団体客のキャンセルも入っている」と話しています。
周辺にある飲食店でも、今月の予約がすべてキャンセルになった店もあるなど、影響が広がっています。参道で、名物の「梅ヶ枝餅」を販売している店では、「旅行者の数は半分以下になっている。階段を落ちるように売り上げが減っている」と話していました。
一方、中国から太宰府天満宮を訪れた30歳の女性は「熊本で地震が起きたことは知っていたが、福岡で買い物がしたくて来ました」と話していました。
タイから来た31歳の男性は「本来は熊本に行く予定でしたが地震が起きたので予定を変えて福岡に来ました。熊本の人たちは地震に負けずがんばってほしい」と話していました。
外国人旅行者に加え、これから国内では、修学旅行シーズンや大型連休を迎えるだけに、九州の観光地では、地震の影響が長期化することを懸念しています。

外国人旅行者の予約キャンセル増える

福岡市内の宿泊施設では、外国人旅行者による予約のキャンセルが増えています。このうち、福岡市博多区にある宿泊施設では、一連の地震が発生して以降、宿泊客全体のおよそ70%を占める外国人旅行者から予約のキャンセルが相次いでいるということです。
地震の前は、80%ほどだった稼働率が、現在は50%以下に落ち込んでいるということです。国内からの観光客によるキャンセルも増えていて、ほぼ満室だった5月の大型連休の予約は2割以上がキャンセルになったということで、余震が続くなか、影響が長期化することを懸念しています。
「げすとはうす中今」のオーナーの木原崇雄さんは「外国人旅行者は、福岡を拠点に熊本などほかの県へ向かう人も多い。地震をかなり不安に思っている様子で、この状態が続くと厳しいです。大学時代は、熊本に住んでいたこともあり、復興を願うとともに旅行者にも戻ってきてほしいです」と話していました。

クルーズ船は影響なし

一方、福岡市の博多港では海外からのクルーズ船が寄港をとりやめる動きは出ていません。海外から博多港に寄港した不定期の観光船のクルーズ船は、去年は過去最多の245隻に上り、ことしは、今月1日の時点で、すでに346隻の寄港が予定されています。
博多港を管理する福岡市によりますと、熊本県で震度7の揺れを観測した今月14日以降、これまでに、地震を理由に博多港への寄港をとりやめた船はないということです。
福岡市は「多くのクルーズ船は、到着した日のうちに港を離れる日程で、観光の範囲も福岡市の周辺に限られることから、クルーズ船には影響が出ていないのではないか」と話しています。