<ひと>津田雄一さん「原点はハレー彗星探査」
プロジェクトマネジャー就任
昨年12月に宇宙へ旅立った小惑星探査機「はやぶさ2」の総責任者に、39歳の若さで抜てきされた。はやぶさ2の機体開発で取りまとめ役を務めた経験を生かし、「探査機を限界まで使い倒し、すべての面で世界トップの成果を目指す」と静かな口調で決意を語る。
小学生の時、日本のハレー彗星(すいせい)探査機の活躍を知り、宇宙開発に興味を持った。大学で航空宇宙工学を専攻、宇宙航空研究開発機構(JAXA)に入ると、初号機「はやぶさ」の運用や、世界初の宇宙ヨット「イカロス」のサブチームリーダーを務めた。
今回の辞令には「単純に驚いた」。前任の国中均・JAXA教授(54)に相談すると、「運用のことは君が一番よく知っている。それをチームの皆と共有していくだけだ」と励まされた。
「まだ若いと思われるかもしれないが、これまでも、常に『自分だったらどうするか』と考えてきた。その積み重ねを生かしたい」と、思い切りよく決断できるリーダーが目標だ。
数百人がかかわるプロジェクトを率いる重責を受け止めつつ、長女(7)とスケート教室に通うなど、家族と過ごす時間も欠かさない。
はやぶさ2は、生命のもとになる水や有機物を含む小惑星1999JU3に向かって順調に航行中だ。「チーム一丸となり、帰還する2020年に、はやぶさ2が日本の科学、技術、宇宙探査全てを高めたと言われるようにしたい」【大場あい】
■つだ・ゆういち 広島県生まれ。39歳。東大大学院で博士号取得。昨年7月からJAXA准教授。専門は宇宙航行力学、宇宙機システム。