20ドル札に黒人女性 奴隷解放運動のリーダー
5ドル札にはキング牧師ら
【ワシントン会川晴之】ルー米財務長官は20日、奴隷解放運動家として活躍したハリエット・タブマンさんを20ドル紙幣の肖像に採用すると発表した。米紙幣に黒人女性が採用されるのはこれが初めて。女性としても19世紀末以来、約120年ぶりとなる。女性の参政権を認めた憲法修正19条施行から100周年になる2020年にデザインを確定し、発行する予定だ。
奴隷だったタブマンさんは、19世紀半ばから奴隷解放運動に参加。黒人奴隷を米国南部諸州から北部各州に逃がす「地下鉄道」と呼ばれる秘密輸送ルートを構築した。昨年6月に財務省が紙幣のデザイン一新を図る考えを表明して以後、タブマンさんの採用を求める声が相次いでいた。ルー長官は「単なる歴史的な存在にとどまらず、模範的なリーダー」と採用の理由を説明した。現在の20ドル紙幣に使われているジャクソン大統領の肖像は、紙幣の裏面で引き続き使われる。
米紙幣に女性の肖像が使われるのは、1891年から96年に発行された1ドル銀兌換(だかん)紙幣の、初代大統領夫人マーサ・ワシントンさん以来。タブマンさんは3人目。このほか5ドル、10ドル札の裏面のデザインも一新する。5ドル札には公民権運動を主導したキング牧師ら3人、10ドル紙幣には女性参政権運動にかかわった女性5人をそれぞれ描く。