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避難数千人 小規模自治体は苦境に 益城町

狭いスペースに多くの職員らが詰める益城町災害対策本部=熊本県益城町惣領で、2016年4月21日、矢追健介撮影

 熊本地震で住宅1026棟が全壊、4374棟が半壊・一部損壊した熊本県益城(ましき)町は、人口約3万4000人の小規模自治体だ。約250人の職員は避難所運営やインフラの復旧に忙殺され、被災者のニーズに十分応えらず、苦境に立たされている。

     益城町の役場本庁舎は1982年に完成し、2012年度に震度7に耐えられる耐震工事を終えた。だが16日の地震で亀裂が入り、倒壊の恐れがあるとして約1.5キロ西の保健福祉センターに避難した。

     同センターには既に避難者がいたため、一部に他の部屋に移動してもらい、約50平方メートルのスペースを確保した。地域防災計画は災害時、センターをお年寄りや障害者が身を寄せる「福祉避難所」に位置づけていたが、その機能は果たせなくなった。

     消防隊員や警察官もいて混み合う対策本部には、他の自治体から応援職員を呼べるスペースはない。更に隣接する熊本市からとみられる数千人が町内の指定避難所ではない施設の駐車場に避難し、車中泊をしている。指定避難所でないため本来は職員を派遣する必要はないが、あまりにも避難者が多いため、職員3人を交代で常駐させるなど「想定外」の対応も迫られた。

     益城町の苦境は財政規模などが似ている自治体にとって、他人事ではない。

     仙台市に隣接する宮城県富谷(とみや)町は人口約5万2000人で、町職員は約300人。東日本大震災では16棟が全壊、537棟が半壊するなどの被害が出た。町職員は「仮に益城町と同じような被害が出れば、町職員が足りない。避難所も運営には手が回らなくなるだろう」と話す。

     南海トラフ地震による被害が懸念される高知県いの町は指定避難所が115カ所あるが、職員は約310人しかいない。担当者は「避難所の職員常駐は無理。一部は巡回する方針だ。ニュースで益城町の状況を見ると、自分たちも災害時に要援護者のケアに手が回らなくなるのではないかと感じた」と話す。

     1995年の阪神大震災後、神戸市生活再建本部長を務めた金芳外城雄(かねよし・ときお)さん(73)は「中小自治体は災害対応に限界がある。車中泊の避難など今回の被災を踏まえて防災計画を作る必要がある」と話している。【吉川雄策】

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