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【栃木】

戦時体験 生の声を映像化 80〜90代、県内10人の証言

 戦争体験者の証言を後世に伝えようと、県はDVD「戦争の記憶を語り継ぐ 十人の語り部が明かす、戦時体験」を初めて制作した。映像に登場したのは、県在住の八十〜九十代の男女十人。空襲や従軍、家族の戦死などの過酷な記憶を持つ人々へのインタビューを中心に、当時の写真や映像を織り交ぜながら、時代背景にも迫っている。(大野暢子)

 約二時間十分の映像で、旧満州で終戦を迎えた那須町の中込(なかごみ)敏郎さん(89)は、家族の死や飢えに苦しみながら、命懸けで帰国した経験を吐露。一九四五年七月の宇都宮空襲を体験した栃木市の山口スミさん(80)は、宇都宮市街地に立ち、燃える家々の間を逃げ惑った記憶をたどった。

 インタビューは昨年の戦後七十年に合わせ、県高齢対策課が中心となり、昨年十月から今年二月にかけて県内の各地で撮影。全三十六人から聞き取りをし、このうち十人分をDVDに収めた。

 「戦時下を生きた人々の声を、特に若い世代に届けたい」との狙いから、約八百枚を県内全ての小中学校や高校などに配り、活用を呼び掛けている。宇都宮市の県立図書館では、DVDに収録しきれなかった二十六人分を含む全員分の映像を館内限定で閲覧することができる。

 DVDには聞き取り映像のほか、県が九五年の戦後五十年を機に、県民百人による戦争体験の手記をまとめた本「戦時体験記 戦後五十年今、伝えたいこと」の電子書籍版も収録。担当者は「当時、手記を寄せてくださった方の多くは既に亡くなられた。貴重な声を残すことの大切さを痛感している」と語った。

 DVDは各市町の公立図書館にも配布されており、一般向けの貸し出しも行われている。

 

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