<金口木舌>ヘイト行動への対抗
今月10日、東京・阿佐谷のライブハウスは人であふれ、熱気に包まれていた。こわもてで屈強な男性らが並び「組長」がこう宣言した。「人種差別、排外主義を許さない。われわれこそが愛国者だ」
▼超圧力/反レイシズム戦線武闘派・男組の再結成祭だ。シンボルの骸骨は一見、おどろおどろしいが、人間は肌の色に関係なく骸骨を持つことに由来する。昨年3月に解散後、再結成したのは若者集団SEALDs(シールズ)がヘイト行動の標的にされ始めているからという
▼ヘイト行動の現場に駆け付け「非暴力」で圧力をかける。沖縄の市民も辺野古のテントが壊されたり、デモや集会で罵声を浴びたりしている。沖縄の人々を守ることも宣言した
▼「朝鮮人が井戸に毒を投げ込んだ」。熊本地震でもネットでデマが流された。朝鮮人らが虐殺された関東大震災時のデマを模倣したのだろう。東日本大震災でも「中国人が支援物資を略奪している」とのデマがあった
▼そんなデマで最も傷つくのは攻撃された集団の子どもたちに違いない。京都朝鮮学校襲撃事件は衝撃だった。男組の決意は“あるべき大人の姿”を示すことだろう
▼人種主義や排外主義は、世界の先進諸国で広がりつつあるという。決して過去ではない。子や孫を思えば、沖縄も対策が急がれる。男組が必要でなくなる社会はいつ来るのだろうか。