現在も予断を許さない状況である、熊本県を中心とした地震災害。日本は何度も大規模な震災を経験しつつも再び立ち上がってきた。本記事ではかつて大震災を経験した各地の風俗店が密かに行なった、また今も続いている被災地支援について取り上げる。
熊本城
ソープ通が辿りつく地、熊本
熊本がとんでもないことになってしまった。風俗ライターという仕事をしていることもあって、このような事態が起こると、自分の仕事に誇りを持っていても、「こんな時期に......」という声を突き付けられることもあって、複雑な気分になる。
熊本......実はソープランドの聖地だと言うユーザーは少なくない。「通は吉原や福原よりも熊本」というソープランドファンも多いほどだ。その理由のひとつとして、泡姫のほぼ全員がNS、つまり、ノースキン対応であることが挙げられる。
また、"熊本ソープの秘技"とも言われている『阿修羅』というテクニックも欠かせない。これは、四つん這いにさせられて、泡姫にアナル舐めをされながら手コキをされるものだ。まさに、性風俗の文化遺産だと思う。
さて、担当者の依頼により、このような状況下で風俗について書かせていただく。いや、『このような事態での風俗』についてだ。つまり、簡単に言えば『震災と風俗』だ。
まず、1995年1月に発生した阪神・淡路大震災でのこと。崩壊した神戸の町で多くの人が途方に暮れた。それは、住む場所を失ったからであり、"生活"というものが危機にさらされたからだ。
この時に立ち上がったのが、関西のソープランドの聖地である福原のソープランドであった。もちろん、被害を受けて営業ができなくなった店もあったが、被害を免れた店が被災された人のためにお風呂を無料で開放したのだ。
もちろん、お風呂を借りた人も、そこが何をしている場所かは十分に承知していただろう。しかし、そのような事態であり、ありがたく使わせてもらったという人も多かった。
また、風呂を開放といえば、界隈のラブホテルも同様に、地域の人に無料で開放したという話も残っている。おそらく、そこで初めて性風俗の現場に足を踏み入れたという人も多かったことだろう。もちろん、本来、あってはならないことではあるが、普段は社会から隔離、時には虐げられることが多い風俗というものが、世間とまっとうにつながった瞬間でもあった。
この阪神大震災から16年後に起きたのが東日本大震災だ。未曽有の出来事であり、かつてないほどの被害に日本国民が一致団結をして、募金活動を行っていたことは記憶に新しい。実は、その際に受付に募金箱を設置した都内の風俗店が多かったものだ。
この募金活動で、現在も真摯な姿勢を見せているのが、被災地である仙台市にある『M』というソープランドだ。このお店は、毎年3月11日過ぎに募金の受領証をホームページに掲載しているのだ。そして、これからも復興支援を継続することを誓っている店だ。おそらく、店がある限り、この活動を続けていくことだろう。
この原稿を書いている現在、熊本のソープランドのホームページやSNSをザッとチェックしてみたところ、ほぼ全店が15日で更新が停まっている。おそらく、16日からは営業できていないのだろう。知り合いの関係者も多いので、今は一刻も早い再開よりも、彼らが無事でいてくれることを願うのみだ。
(取材/文=子門仁)