★19日、政府・与党は委員会で審議していたTPPの承認案と関連法案の今国会での承認・成立を断念することを固め、衆院で継続審議とし、秋の臨時国会での成立を目指す。米大統領選挙で民主、共和ともにTPPは雇用を奪うとして大統領候補者たちはこぞって反対を表明。日米が参加しなければ成立しないTPPに対して、日米のTPP関係者らは「まず日本で承認・成立していること」で、11月に新大統領が決まると、新大統領を説得するとともに、大きなメリットや効果があると米議会を説得する材料に早期の日本の国会での「承認・成立」は不可欠だった。

 ★TPPはアベノミクスの成長戦略の要となっており、月内の成立によって参院選挙の政策の柱にもなり得たことを考えると、今回の成立断念は政権にとっては痛手となる。しかし政権の本当の痛手は熊本を中心とした阿蘇、大分の大震災だろう。被災地の復興は来春の消費税増税の再延期に拍車が掛かることは確かだが、その分首相・安倍晋三の政権戦略には大きな修正が必要となる。

 ★「何といっても今夏の衆参同一選挙の実施が極めて困難になったということだろう。会期末は6月1日。延長はない。直前には伊勢志摩サミット。日程は窮屈だし、来月いっぱいで九州の復興にめどが立つとは思えない。東日本大震災の避難民の解決もままならない中、九州の避難民もあふれ、列島は30万人もの震災避難民を抱えることになる。20年のオリ・パラで浮かれることも難しくなる。まして、この時期に同日選を仕掛けることは国家の危機に参院議員の半数と閣僚しか国政に携わる議員がいないということにもなる。それでは首相の政治的都合で解散をしたことになりかねない。ダブルは消えた」(自民党幹部)。頑張ろう日本。(K)※敬称略