告白するのがかなり恥ずかしいのですが、実は私、幼稚園のときからかれこれ20年、寝る前とかになんとなく考えている「自分の物語」があるんですよね……。
「それってまさか自分だけじゃないよね?」と不安に思いつつ、「人に言わないだけで、みんな意外と持ってるものなのでは?」「ほかの人の『自分の物語』を聞いてみたい!」という気持ちもありまして。
というわけで、今回は「自分の物語」について、思い切ってアンケートを実施してみました。
【アンケート】「寝る前とかにとりとめなく頭の中で進行させている、オリジナルのマイストーリー(自分の物語)」があるっていう人、どれくらいいるんだろうと気になりすぎるので、アンケートを作ってみました。よろしければぜひご協力をお願いします。https://t.co/eMypT8Gzlb
— 丸山ぬめり (@ame_nami_) 2016年3月15日
tweetからアンケート回答ページに行けるようになっています(現在は終了)。だれも回答してくれないかと思いましたが、意外と拡散されて、延べ641人の方に見ていただき、うち32人の方に回答していただきました。ありがたや。
アンケート集計期間…2016年3月15日~2016年3月31日
回答数…32人(男性16名、女性16名)
※アンケートでは「①一過性の妄想ではなく、継続的にまとまった期間考え続けているもの②自分や自分を投影させた主人公が出てくるもの」を「自分の物語」と定義しました。
今回のアンケート回答者の年齢構成ですが、20~24歳、25~30歳の人を中心に、比較的若い世代の人にお答えいただきました。34歳以下の回答者がほとんどを占めますが、なかには40代・50代の方で、回答してくださった人もいました。
それでは、さっそく集計結果に移りたいと思います!
だいたい10歳くらいまでに「自分の物語」ははじまっている
3~5歳までの未就学の時期に「自分の物語」を持ちはじめたと回答した人が7人います。早い……!そして、6割ほどの人が小学校中学年(=10歳くらい)までに「自分の物語」を持ちはじめています。
また、意外だったのですが、中学校に上がってから「自分の物語」を持ちはじめた人も一定数(7人)いました。
ちなみに、自由記述欄に、「子供のころ『自分の物語』を持っていたものの、大人になるにしたがって次第に『自分の物語』を思い浮かべないようになっていった」と書いてくださった人が何人かいました。
「自分の物語」はいくつあって、どれくらい完結しているのか
「自分の物語」を1つしかもっていないという人は意外にも少なく(4人)で、多くの人が複数の「物語」を持っていました。なかでもグラフでは「3つ以上」と括ってしまいましたが、10個前後持っていると回答した人も多く、また、「数えられないほど」(女性、45〜49歳)「物語の数は少なくとも30以上」(女性、25〜29歳)「多すぎてわかりません」(男性、19歳未満)といった回答も目立ちました。
ちなみに「その他」の回答は、「ラストは同じで登場人物も大体の展開も同じで、シチュエーションだけ違う」(20~24歳、女性)とのことでした。
人は寝る前に「自分の物語」を発展させがちである
予想通り、「寝る前」が多いですね(複数回答可ですが、「寝る前」とだけ答えた人が大半でした)。
少数派ですが「勤務中」や「一日中時間さえあれば」というツワモノも……。
また、「自転車に乗ってる時や歩き回っている時。動いていないと思考が回らない。家の中では寝転がりながら枕を宙に放っては受け止め放っては受け止めを繰り返しながら。」(男性、20~24歳)という独自の習慣をお持ちの人もいました。
「自分の物語」は恥ずかしいか
恥ずかしいと感じる人がかなり多いようですね。あとで「自分の物語」の内容紹介に移りますが、やはり自分の無意識的な感情が投影されているぶん、恥ずかしさが倍増するのでしょう。
性的なシーンもまあまあ含まれている
上の「 恥ずかしさ」とも関連するかもしれないですが、予想通りといえば予想通り、意外といえば意外な結果が出ました。
ちなみに、「『恥ずかしい』と感じる」と答えた人と、「性的なシーンが含まれている」と答えた人は、必ずしも一致していませんでした。
さらにいえば、「自分の物語」の内容と「恥ずかしさ」にも、そこまで関連を感じなかったので、感じ方は人それぞれなのでしょう。
ずばり、あなたの「自分の物語」を教えてください
さて、ここからはアンケートでお答えいただいた「自分の物語」の内容を、ごく一部ですが、紹介していきたいと思います。
「答えたくない」「恥ずかしい」「創作に使っている(もしくは使う予定)なのでここには書けない」という人も数人いらっしゃったのですが、多くの方にお答えいただくことができました。ありがとうございます。
「舞台(世界観)」「ストーリー」「見どころ」をそれぞれ回答していただきましたので、あわせて掲載させていただきます。
・舞台:現代の大都会のオフィス街。ストーリー:何をしても冴えない主人公(星野源の最弱verみたいなやつ)が、いきなりオフィス街にいる27歳の凛としたOLに高く評価されて、とんとん拍子で人生がうまく行く話。見どころ:いきなりOLに話しかけられたときに、主人公の見えている景色がこれまでと一転するところ。(男性、20〜24歳)
・舞台:SF?小さいロボットと暮らす。ストーリー:大きい流れはあまりない。基本ロボと会話し、一緒にいる部屋が増築されたり改装されたり、大きな窓から外が見えて、時々昔の自分にも会う。見どころ:ロボが成長するところ。例えば最初は感情表現するだけで日本語は話せなかったが、今はよく喋る。(25~29歳、女性)
・舞台:すべて現代〜近未来。ストーリー:概念となってしまった幻のラーメンをインターネットで探す。見どころ:特になし。(男性、19歳未満)
・舞台:現代、天国、地獄、現代とよく似た異世界の4つ。物語:魔族と精霊と人間が繁栄、衰退を繰り返しながら生存競争していく、最終的に人間が消滅するまでの物語。見どころ:転生をしてヒロインと再び巡り会える箇所。(女性、20~24歳)
・舞台:現代の地元と現代の東京。ストーリー:戦国時代から村にいた天狗が後継者を発掘して地元に帰ってしまい、後継者が色々と苦労する話。 見どころ:天狗が責任感から数百年間暮らした村を去る決心をするシーン。(男性、25〜29歳)
・舞台:だいたい現代。ストーリー:困難を乗り越える恋愛が好きなので(身分差とか)、自分と主人のそういう馴れ初めを妄想してます。見どころ:一回は必ず引き裂かれるところ。大抵そこでマジ泣きします。(女性、20~24歳)
・舞台:近代南洋の孤島。ストーリー:孤島に漂流した自分のサバイバルが第一部。20人の原住民と邂逅し、彼らとの戦闘を経て、彼らが族長への反感を持っていることを知り、その反感を利用して民心掌握、策略をめぐらせてついに族長をたおす第2部。第3部は原住民の女たちを自分の住居にあつめて飼育し、性交に明け暮れる。見どころ:族長の閨を襲って首を切り落とし、彼とまぐわっていた族長の娘を犯すところ。(男性、20~24歳)
・舞台:ディストピア的な近未来 架空の島国。ストーリー:ディストピア風未来社会の色々な小役人たちの群像劇。設定を考えるのが楽しくて、行政機関の組織図や世界情勢をマイナーチェンジしながら15年程度進行中。見どころ:植民地統治の方向を巡って各省庁の若手官僚が意見交換をするところ。(男性、25~29歳)
・舞台:古代中国、仙人とかがぞろぞろいる世界。ストーリー:高貴な家の娘が盗賊に拾われて、厳しく鍛えられて、途中運命の男に出会ったりしつつやがて一国の柱になる。見どころ:戦で味方が殲滅し、主人公が叫びながら処刑されるシーン(女性、25〜29歳)
・舞台:未記入。ストーリー:幽霊の少女と彼女にとり憑かれた女子高生の話。見どころ:幽霊の少女が自分の死に様を見せて女子高生が吐くシーン。(男性、20〜24歳)
・舞台:競馬。ストーリー:特定の馬の競走成績を考えていたが、そのライバルや兄弟に関しても細かく設定するようになった。現実の競馬界でレギュレーションの変更がある場合にはそれに合わせて変更、改変をおこなう。見どころ:特になし。(男性、30〜34歳)
感想と考察
さまざまな人の「自分の物語」を見せていただいて、感じたこと。
・多くの人が10歳くらいまでに「自分の物語」を持ちはじめていました。大人になるにつれ「自分の物語」を思い浮かべなくなるという人がいる一方で、「自分の物語」をはじめてからずっと(10年20年、人によっては30年以上)持ちつづけている人もたくさんいました。そこまでくると、完全に人生に定着していますね。
・いわゆる「中二病」的な世界観のものを想像していたけれど、「自分の物語」は思った以上に多種多様でした。何らかの形で願望を投影していると思われる「物語」も多かったのですが、「考えごと」や「シミュレーションゲーム」に近いようなものも。
「奥手の主人公(男)が女に振られまくる」(男性、19歳未満)といった、ちょっと気になる内容のものもありました。
・「自分の物語」について、完全なオリジナルストーリーだという人が少数ながらいる一方で、多くの人が「影響を受けている作品」(小説だったり映画だったり漫画だったりアニメだったりいろいろ)を挙げていました。
また、アンケートに答えていただいた人の3割ほどの人が、「自分の物語」は、既存のコンテンツの二次創作であると答えています(今回のアンケートではなぜか「艦これ」を挙げる人が多かったです)。
・これは私の体感なのですが、この「自分の物語」についてのアンケートが拡散されていったなかで、何らかの形で創作を志向している人たち(短歌をやっていたり、趣味で小説を書いていたり、同人誌をやっていたり)からのレスポンスが非常に多かったです。
・今回のアンケートを通じて、みなさんそれぞれに「自分の物語」を愛し、大切にしているなあという感じがすごく伝わってきました。かくいう私も、「自分の物語」は(墓場まで持っていくような内容ですが)半分ライフワークです。
ご協力いただいたみなさま、本当にありがとうございました。
最後に、少し古い(2010年)ですが、こんなものがあったので貼っておきます。
ちょっとお前ら聞け、俺の物語が完結したwww - おはようwwwお前らwwwwwwww
おわり。