避難所生活、簡易ベッド使って

血栓防止用、段ボール会社が提供

2016/4/21 09:06

画像 「Jパックス」の段ボール製の簡易ベッド。エコノミークラス症候群など避難所での二次被害防止が期待される=大阪府八尾市 大阪府八尾市の段ボール箱メーカー「Jパックス」が、段ボール製の簡易ベッドを熊本県の被災地へ送る支援を始めた。エコノミークラス症候群などを引き起こす血栓を防ぐ効用を訴え、避難所での二次被害を減らそうと活用を呼び掛けている。

 2011年の東日本大震災の際、体育館などの冷たい床の上で被災者が寝ている姿をテレビで見て開発に着手。東北の避難所を回り約2800台を提供した。その後も14年の広島市の土砂災害で約400台、昨年の茨城県常総市の豪雨災害では約650台を届けた。熊本地震では鹿児島県の段ボール業者に製造を依頼し、既に約150台を持ち込んだ。

 考案した水谷嘉浩社長(45)は「避難所のベッドの必要性は、ほとんど認知されていない。提供を続け、避難所では雑魚寝をするという『常識』を変えたい」と話す。

 畳んだ状態で現地に運び、10分ほどで組み立てられる。長さ195センチ、幅90センチ、高さ35センチの大きさになり、プライバシー保護用のついたても付く。現在はより簡単に組み立てられるよう改良中。

 同社は災害医療の専門家と連携し、避難所のベッドの必要性を訴えてきた。高齢者らは床での寝起きが困難で寝たきりになり、血栓を発症することもある。ベッドの利用で寝起きが楽になり運動が促進されれば、発症リスクの軽減につながる。

 一方で、被災した自治体にベッドの提供を申し入れても多忙のため断られたケースも。水谷社長は東日本大震災以来、自治体と段ボール業者の団体の間で、災害時にベッドを提供する協定を結ぶ活動を開始。これまでに約220市町村、7府県と協定を結んだ。

 水谷社長は「普及は始まったばかり。少しでも快適な睡眠を提供し、被災者のためになりたい」と意気込んでいる。