安達誠司「講座:ビジネスに役立つ世界経済」

「買われる通貨」と「売られる通貨」
原油価格のリバウンドでこう変わる

2016年04月21日(木) 安達 誠司
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〔PHOTO〕gettyimages

原油価格の動向をどう見るか

このところ、中国経済があまりマーケットの話題に上らなくなっている。

4月19日時点でみた中国株の最近1ヵ月のパフォーマンスをMSCI(モルガンスタンレー・キャピタル・インターナショナル)の指数でみると+3.19%で、世界全体の指数のパフォーマンス(+2.36%)を上回っている(ちなみに日本は+1.19%)。

世界のマーケットが混乱していた2月に上海で開催されたG20で、大統領選を控えこれ以上のドル高を回避したい米国と、資本流出と人民元安のスパイラル的な危機を止めたい中国との間で、「ドル高・人民元安阻止」の方向で政治的利害が一致したとの噂がまことしやかに流れて以降、人民元安の動きは止まっている。

ちょうど時期を同じくして、今度は日本円の上昇とドル安が始まったことから、「円買い」が海外の投機筋の短期的な投資戦略として選択された可能性も否定できない。真偽のほどはわからないが、日本円、もしくは日本株はとんだ「とばっちり」を受けたのかもしれない。

ところで、このような中国市場の落ち着きにともなって、世界経済の不安定要因の一つであった原油価格も落ち着きを取り戻しつつあるとの指摘がある。例えば、原油価格の代表的な指標の一つであるWTI先物価格は、現在、1バレル=40ドル近辺で推移している。

1月終わりから2月中盤にかけて、WTI先物価格は1バレル=30ドルを割り込み、約25ドル程度にまで下落した。すなわち、現在の値は、最安値から約60%近い上昇を示したことになる。「後出しじゃんけん」的にみれば、原油先物への投資はかなりの収益を上げたことになる。

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