ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
あれか、これか ― 「本当の値打ち」を見抜くファイナンス理論入門
【第2回】 2016年4月21日
著者・コラム紹介バックナンバー
野口真人 [プルータス・コンサルティング代表取締役社長/企業価値評価のスペシャリスト]

こうして値段にダマされる。
では、どうする?
一流の投資家バフェットは何を見て「買って」いるのか

1
nextpage

日頃、どうやって「損得」を判断しているだろうか? ほとんどの人は「価格」を比較してしまう。しかし実のところ、「モノの値段」ほどあてにならないものはない。本当の値打ちを見抜き、正しい「選択」をするためには、ファイナンス的な思考が欠かせない。

年間500件以上の企業価値評価を手がけるファイナンスのプロ・野口真人氏の新著『あれか、これか――「本当の値打ち」を見抜くファイナンス理論入門』は、あらゆる「選択」に役立つ「4つのノーベル賞理論」が学べる一冊だ。

今回は「価格」にダマされないためのファイナンス的な発想の基本についてお伝えする。我々の価値判断は、どんな考え方にとらわれているのだろうか? 最新刊『あれか、これか』のなかから紹介していこう。

4つのノーベル賞理論に「価値の見抜き方」を学ぶ

前回はファイナンス理論が「選択」ないし「価値判断」の力を養ううえで有用であるということをお伝えした。実際、その価値は世界的に認められており、ファイナンスの主要理論は、ことごとくノーベル経済学賞を受賞している。

とはいえ、ノーベル賞と聞いて身がまえる必要はない。自然科学におけるノーベル賞理論と違って、ファイナンスの考え方というのはきわめてシンプルだし、実用的な投資理論として世界中のプロフェッショナルたちに活用されているからだ。

不思議なことに、ほとんどのファイナンスの入門書は、これらの理論については深く説明していない。その理由の1つはおそらく、数式が多用されるこれら理論をわかりやすく説明するのが難しいことにある。

しかし、どれほど複雑な数式の見かけをしていても、そのベールの下に隠れているのは、お金に関するシンプルな真理である。人々が日常的・経験的になんとなく理解していることを、理論化してえぐり出してみせたのがファイナンスの知恵だと言ってもいい。

本連載および僕の最新刊『あれか、これか――「本当の値打ち」を見抜くファイナンス理論入門』では、そのシンプルな本質だけをお伝えするため、実務家にしか関わりがないディテールは徹底的にそぎ落としているのでご安心いただきたい。

ファイナンスの世界の常識は「世間の非常識」である。これを学べば、自分たちのふだんの価値観がいかに現金に歪められているかに気づくはずだ。難しく感じたところは飛ばしながらでもいいので、まずはそうした「目からウロコ」の体験を楽しんでいただきたい。

ではさっそく、ファイナンス理論の冒険に出かけよう! まずはこんな例題から。

1
nextpage
スペシャル・インフォメーションPR
ダイヤモンド・オンライン 関連記事
最強のコピーライティングバイブル

最強のコピーライティングバイブル

神田昌典 監修・解説/横田伊佐男 著

定価(税込):本体1,980円+税   発行年月:2016年4月

<内容紹介>
神田昌典「あれこれやらずに、この1冊だけやりなさい」。伝説の名著3部作が1冊に凝縮!6.2万部突破の伝説の名著3部作『ザ・コピーライティング』『伝説のコピーライティング実践バイブル』『ザ・マーケティング【基本篇】&【実践篇】』計2000ページを10分の1にギュッと凝縮!全部国内事例だからすぐ使える!

本を購入する
ダイヤモンド社の電子書籍
(POSデータ調べ、4/10~4/16)


注目のトピックスPR


野口真人(のぐち・まひと) [プルータス・コンサルティング代表取締役社長/企業価値評価のスペシャリスト]

1984年、京都大学経済学部卒業後、富士銀行(現みずほ銀行)に入行。1989年、JPモルガン・チェース銀行を経て、ゴールドマン・サックス証券の外国為替部部長に就任。「ユーロマネー」誌の顧客投票において3年連続「最優秀デリバティブセールス」に選ばれる。

2004年、企業価値評価の専門機関であるプルータス・コンサルティングを設立。年間500件以上の評価を手がける日本最大の企業価値評価機関に育てる。2014年・2015年上期M&Aアドバイザリーランキングでは、独立系機関として最高位を獲得するなど、業界からの評価も高い。これまでの評価実績件数は2500件以上にものぼる。カネボウ事件の鑑定人、ソフトバンクとイー・アクセスの統合、カルチュア・コンビニエンス・クラブのMBO、トヨタ自動車の優先株式の公正価値評価など、市場の注目を集めた案件も多数。

また、グロービス経営大学院で10年以上にわたり「ファイナンス基礎」講座の教鞭をとるほか、ソフトバンクユニバーシティでも講義を担当。目からウロコの事例を交えたわかりやすい語り口に定評がある。

著書に『私はいくら?』(サンマーク出版)、『お金はサルを進化させたか』『パンダをいくらで買いますか?』(日経BP社)、『ストック・オプション会計と評価の実務』(共著、税務研究会出版局)、『企業価値評価の実務Q&A』(共著、中央経済社)など。


あれか、これか ― 「本当の値打ち」を見抜くファイナンス理論入門

あらゆる「選択」に役立つ4つのノーベル賞理論が1冊でわかる! 2500件超の企業価値評価を手がけたファイナンス第一人者が教えるお金・リスク・価値の本質とは? 「カネほど無価値なものはない!」――お金に囚われず「本当の値打ち」を選びとるための最強の実学。

「あれか、これか ― 「本当の値打ち」を見抜くファイナンス理論入門」

⇒バックナンバー一覧