世界中を激震させたパナマ文書。タックス・ヘイブンとは何か、解決策はあるのか、パナマ文書の今後とは――。『〈税金逃れ〉の衝撃』著者であり、公認会計士・税理士の深見浩一郎氏がパナマ文書問題の本質に迫る。
パナマ文書の衝撃
パナマ文書は、これまで見えないとされていたものを、白日の下にさらけ出してしまった。タックス・ヘイブンのペーパーカンパニーは、魔法陣で隠された貸金庫みたいなものだから、その中味が暴露された衝撃は大きい。
モサック・フォンセカは、世界第4位のオフショア法律事務所だ。オフショア法律事務所は、ロンドンやニューヨークに事務所本部を構える「普通」の大手法律事務所に比べて、その業務内容に著しい特徴がある。
外国投資信託に関するファンド業務やオフショア法人、すなわちタックス・ヘイブンのペーパーカンパニーに関するオフショア業務に、ほぼほぼ特化しているのだ。
今回モサックから出た情報は、タックス・ヘイブンに設立されたペーパーカンパニーの契約情報、それらの法人と金融機関との取引情報など、過去40年分の情報だ。情報のほとんどが文字情報とすると、2.6テラは膨大な情報量だ。
ICIJ(国際調査報道ジャーナリスト連合)のおよそ世界100の報道機関からの、約400人のジャーナリストが分析作業に参加できるようにするまでには、共同作業が可能になるように、情報をデータベース化することからまず始めなければならなかったに違いない。
分析が進み、「税金逃れ」を行っていた政治家などの名前が続々と明らかになったことで、パナマ文書は注目を浴びることになった。過去にも、独裁者が海外で不正蓄財を行っていたことはよく知られていた。
したがって、民主化の進んでいない新興国や、いまだ全体主義の風潮から脱していない旧共産圏の元首の名が出ることには、それほどの驚きはない。
しかし、アイスランドの首相に続き、英国首相ジェームズ・キャメロンの名前までもが出てくるに至って、パナマ文書のもたらす問題の本質が露わになった。
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