2016-04-21

ずっと二次元さえあれば生きていけると思ってた

20代の頃はエロゲが本当に好きで楽しくて、プレーする時間も無いのに毎月新作を10本以上は買い、ほぼ毎日プレーしていた。

からずっと、"生身の彼女"なんていうのは二次元に対する裏切りであり、どうせ自分には縁のないものと諦めていた。いや考えてすらいなかったんだと思う。

ここ数年は仕事が忙しくなり、負いたくも無い責任も負うようになり、どっしり腰を据えてエロゲをプレーする気力も時間もなく、「未開封で積まれた新作」がさすがに邪魔に思えてきたこともあって様々な二次元のものを売却処分した。さすがに全部を捨てるほど世捨て人になったわけでもないので何度かの選別をくぐり抜けてもなお手元に残しておきたいと思ったのは残したが、ソシャゲSSRが数枚余裕で引けるぐらいの額にはなった。

すっかり片付いた部屋を見て、気付いてしまった。二次元は飽きたら、後には何も残してはくれなかった。

その時、その時点では楽しんだコンテンツも、数年の時を経てしまうとどうしても色褪せてしまう。

思い出は美しいが、その思い出で自分は一体何を得たんだろうか。

ただ消費することしかできないオタクが、消費することすら疎んでしまった今、何ができるんだろうか。

そんなことを考えている内に、10年ほど一人暮らしをして初めて「寂しい」と感じた。

自分は異性は当然として同性ですら友達と呼べるほどの人間関係がなく、親兄弟ですら同じ空間にいると苦痛を感じ、部屋に一人でいたいと思うタイプなのでこれは本当に驚きであり不思議だった。寂しいと思った瞬間でさえも、きっと他人がいたらそれだけで萎縮し苦痛を感じていたに違いないのにだ。

そして改めて自分の現状を省みて「ああ、國府田マリ子のおっかけコピペネタじゃなかったんだ」。

まさか自分に立ち返る瞬間が訪れるとは思わなかった。

コピペの人ほどアクティブオタクだったわけではないが、どうせこちらの相手二次元だ。主人公以外と結ばれる事も無ければ劣化することもない。供給がある限り滅びることはない。そう信じていた。

次に思いうかんだのは「普通」のコピペだった。

子どもの頃は、普通に結婚して、普通に子どもを産んで、育てて、普通に歳をとって、普通に死んでいくのが普通人生なんだとなんとなく思ってたけど、そんな普通人生を送るためには、とてつもない努力必要だったんだなと最近になってやっと気づきました。(手遅れ)

人並みに普通で居たいと思っていたはずなのに「普通からずっと目を逸らし続け、いつの間にか自分の思う「普通」と「世間が求める普通」のギャップがあまりに大きくなっていた。

周りを見れば年下の同僚ですら左手にはみんな指輪が光っている。ちょっとした雑談で出るのは子の卒業入園、あるいは出産といった話ばかりだ。

異性に対してそう積極的にも見えない人だってもちろんそうだ。もっと言えば、仕事ぶりがあまり好ましくない人だって妻がいて、子供がいる。

彼らはちゃんと育てた親に対して恩を返し、妻を娶り子を育てることで社会に対する責任果たしている。

翻って、自分は何をしていたんだろう。

別に結婚し子を産み育てることだけが人生ではないし、国民の三大義務を履行しているんだから文句を言われる筋合いはないが、「親以外の誰からも人として愛して貰えなかった」が今の自分事実だ。彼らは少なくとも赤の他人から「この人となら子を為して家庭を作っても良い」レベルで愛して貰ってる。

血の繋がった家族ですら毎日顔を合わせれば飽きてくるし不満も出る。なのにそれを赤の他人同士で、互いに折り合いを付け一つの家庭を作るという努力愛情の名の下に成功させている。

学園恋愛ものエロゲなんて腐るほどやってきた、クラナド人生なのはそれなりに認めるしクラナドエロゲじゃないは何度でも言う、だけど自分現実人間から愛される努力も、他人を愛することの意味すら理解できていなかった。

自分が守ってきたのは童貞なんかじゃない。他人と関わるために自分を変えたくないという糞の役にも立たないプライドしかなかった。

三十路を過ぎれば魔法使いになれる」は決して大袈裟言葉じゃない。

これまでの人生於いて、その性格信条で何から瑕疵を抱えていると思われても致し方のない存在

人間カテゴリではあっても戦士騎士ではなく、怪しげな術を使う存在としての「魔法使い」。

不可思議な力で以て20代の間に様々な恋愛経験する「世の普通の人々」こそ魔法使いに思えてならないが、端的に言えば男性はいだってだってセクロスしたいと思うんだから相手に好かれる努力を重ね、学び、成長していくのが「普通」らしい。

それをどうせ自分には縁がないとスルーしてきた以上、全ての責が自分にあるのは否定しようがない。

そんな「社会で生きていくために必要だけど誰も教えてくれない秘密ルール」は義務教育期間に周知しておけと言いたいが「普通」の人はそれこそ周囲の友人・知人から学び、互いに高めあっていっていたんだろう。自分文字通り、次元の向こうへ現を抜かしている間に。

二次元は心の隙間を埋めて癒してくれるが、温もりは与えてくれなかった。

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