伊藤衆生
2016年4月20日21時49分
前人未到の七冠――。井山裕太名人(26)が、圧倒的な強さと驚異的な逆転力で囲碁七大タイトルを独占した。この1年でつくった公式戦24連勝、七大タイトル戦18局負けなしも偉大な記録。国内で無敵といえる域にまで達した第一人者は、「世界一」という目標に向け、決意を新たにした。
20日午後5時21分。伊田篤史十段(22)が投了し、井山名人の勝利が決まると対局室は報道陣であふれかえった。史上初の七冠を達成した井山名人の表情が変わるたび、質問に口を開くたびに、カメラのシャッターが一斉に切られた。
七冠への挑戦は囲碁界としては空前の注目度となり、集まった報道陣は30社約120人。記者会見に臨んだ井山名人は「なかなか囲碁という競技でこれだけ注目していただけることはない。囲碁そのものを知っていただく機会にできたら」。熊本などでの地震の被災者への気遣いを見せ、「大変な思いをされている方が多い。素直に七冠を喜べる状況ではないが、少しでもいいニュースとして受け取っていただけたらうれしい」と語った。
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