熊本地震でせっかく助かったのに、避難中にエコノミークラス症候群で亡くなった方がいらっしゃいます。急な避難生活で枕は大丈夫でしょうか?
首は健康に大きな影響
首(頸椎の状態)は健康状態に想像以上に大きな影響を与えます。脳が全身に指示を与え、情報のフィードバックを受けるための重要な神経が通っているからです。私id:travel_jarnaは、つい先日まで疲労体質と腰痛に悩んでいましたが、枕などの首(頸椎)のケアで驚くほど改善しました。避難所の方は枕をお持ちになっているのでしょうか?もしリュックサックや着替えなど代用品でお休みでしたら、バスタオルなどで簡易の枕を作られると、体がずいぶん楽になるのではないかと思います。
枕の高さと作り方
少ない材料で作れる「首枕」がおすすめです。握りこぶしを横にした高さが平均ですが、もし余裕があれば壁に背をつけて立ってみて、首の後ろと壁の間の空間の大きさが適切な首枕の高さです。
バスタオルを(標準)2枚用意します。
2枚重ね、縦(たて)方向に丸めます。このまま枕にしてしまう人もいますが、絶対にダメです。就寝中にバスタオルが乱れ、平らな場所に寝ることとなり首(頸椎)を痛めます。翌日、首や肩の違和感や頭痛が出る恐れがあります。
必ず両端をひもか別のタオルでしばります。この状態でバスタオルの枕が首の真後ろに来るように、仰向けで休んでみてください。タオルの圧がきつくもなく、ゆるくもなければちょうどよい高さです。敏感な方なら、横になるだけで体がすっと楽になるのを感じていただけます。
仰向けになったまま、片足ずつ伸び(※)をしたり、膝を曲げて足をぐるぐる回したり、天井を持ち上げるように腕を上げぐるぐる回すと、疲れが少しずつ取れていきます。もちろん仰向けのままスマホや本を読まれていても大丈夫です。
※つま先でなく、かかとを遠くに遣(や)ると効果的。
注意点は、一晩眠るとバスタオルが想像以上にへたり、高さが減ってしまうことです。2日目、3日目はよく感触を確かめ、低いようなら別のタオルや着替えを足して調整します。これはバスタオル枕初心者が必ず犯してしまう失敗です。
横向き寝にもやさしい即席枕
仰向けで眠る習慣がある方でも、夜中に無意識のうちに何度も寝返りを打つため、横向きで寝ている時間帯があります。例えば小さな子供は、朝起きると上下逆になっているほど寝相(ねぞう)が悪いことがあります。人は就寝中に自動的に寝返りを打ち体の疲れを取っていきますが、子どもはその力が強いようです。
横向きになると肩が下に来るため、必要な枕の高さは握りこぶしよりずっと高くなります。バスタオル枕をそれに対応するように作り変えることも簡単です。
丸めたバスタオルの隅に別のタオルを差し込み高さを作ります。
ひっくり返して使用します。上で説明したように仰向けに寝たあと、横向きに体を動かすと、ちょうどほおのあたりが枕の隅で支えられ楽な姿勢となります。私の人体実験では朝枕から落ちていることはまだありません(就寝中に枕から落ちると首に負担がかかり、疲れや各種痛みにつながります)。
※頭の重さで沈みがちな後頭部を支えるために、タオルや着替えを後頭部と布団の間に数枚置くとより完璧ですが、割愛してもダメージが限られます。あまり追及しすぎると、新しい枕を買う羽目になります(笑)
ちょっとした裏技
バスタオルの枕で仰向けに寝た状態で、三本指を首の真後ろに差し込み頭の重さで自然に指圧を加えると、ちょうど頸椎2~6番付近に指が当たり体がだいぶ楽になります。上下にずらしながら行うとさらに効果的。
車中泊にも使えます
補助のタオルを差し込んだ写真の形(枕の両端とも同じ形にします)は、車中泊用の首枕にも転用できます。肩で枕の端を支えますのでずり落ちにくくなります。
注意点は、車のシートを完全に水平にできない場合、仰向けに比べ頭の荷重がかからずバスタオル1枚で十分なことです(標準体型)。2枚重ねでは快適さを損なうはずです。程よい高さには多少個人差もあります。
エコノミークラス症候群
なお、車中泊では特にエコノミークラス症候群(=深部静脈血栓症・肺塞栓症)の危険性が高まります。外科医の中山祐次郎氏は以下を注意点として挙げられています。
・可能な限り車中泊をしない
・2時間に1回は起きて立ち上がったり体操をする
・水分を多めにとる
※車中泊でなく、避難所でもエコノミークラス症候群の危険性がありますのでご注意ください(榛沢和彦新潟大講師による)。
また朝日新聞社の記事では次の注意点が挙げられています。
・長時間の同じ姿勢を避ける
・歩くなど足を動かす
・適度に水分をとる(アルコールを控える)
10万人の方が避難生活をされていらっしゃいます。少しでも体が楽になり、明日への力が湧いてくる一助となれば幸甚です。
※熊本以外の方でも、疲れやすい方は参考になさってください。ジャーナ(^^)/