熊本城再建へ日本財団が30億円寄付も「修復には20年、100億円かかるかも」 

2016年4月20日6時0分  スポーツ報知
  • 地震で被害を受けた15日の熊本城の天守閣(共同通信社ヘリから)

 日本財団は19日、地震で大きな被害を受けた熊本城(熊本市)の修復資金として30億円を提供すると発表した。熊本県のシンボルといわれる熊本城は、今回の地震で国の重要文化財が倒壊するなど大きな損害を受けており、再建費用は100億円超規模ともいわれている。

 天守閣の屋根瓦が落下しし、櫓(やぐら)を支える石垣が崩壊するなど無残な姿となった熊本城に、救いの手が差し伸べられた。

 日本財団がこの日、熊本城再建のために30億円の支援金を寄付することを発表した。笹川陽平会長(77)は会見で「熊本城は三名城の一つ。熊本県のシンボルで熊本県民の誇り。支援金を明示することで国民の関心を呼び、募金活動が広がり、県民の方々に希望を持っていただきたい」と話した。

 支援金は、同財団が2014年に設立し、現在100億円あるという「災害復興支援特別基金」から拠出される。過去に東日本大震災で東北地方の祭り復活のため約180の団体に約12億円の支援を行ったが、文化財への支援としてはそれを上回り、今回が財団史上最大となる。城への支援は初めて。支援金はすでに用意されており、今後、県と協議し寄付する。

 だが一方で、熊本城の復旧のメドはたっていない。城内に13か所ある国の重要文化財のうち、長塀(ながべい)は約100メートルにわたり倒れ、東十八間櫓と北十八間櫓など5か所が倒壊。その他に8か所も壁にひびが入るなどした。城を管理する熊本城総合事務所の河田日出男所長(58)は「被害状況の詳しく分からないので見込みが立たないが、修復に20年かかるかもしれない」と話した。石垣を復元するには、原則、ひとつひとつ元に戻さなくてはならないため膨大な時間がかかる。また、工事ができる職人も数が少ないという。

 実態調査すらままならない状況に加え、城内を視察した関係者は「これだけの文化財が破損したとなると、修復費は100億はかかるかもしれない」と語った。

 1998年から89億円以上を投入し熊本城の大規模復元事業は行われてきたが、今回の被災で振り出しに戻った格好だ。河田所長は財団の巨額提供に感謝しながらも「残念で仕方ない」と嘆いていた。(江畑 康二郎)

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