○ 東京喰種の考察 ○ 
連載当初に周りからも
「これ面白いから」
と進められた事があった。
「ただのグロい漫画系の作品なんだろう…」
流行に飛びつくのが元々嫌いな質もあり
なんとなく読む気になれなかったのだが
ひょんなきっかけでこの漫画を手に取り
みるみるうちに物語の世界に引き込まれた。
主人公は18歳の大学生。ある少女との出逢いをきっかけに、運
命の歯車は思わぬ方向に進み始める。今まで人として生きてき
た自分の世界がすべて失われ、絶望と孤独に打ちひしがれる。
そんな葛藤の中でも何かを守る為の本当の強さとは?を純粋に
そして、ひたむきに追う主人公の姿に心を打たれた読者は
少なくないのではないだろうか。
そんな彼を見守り、一緒にその道を探そうとしてくれる
魅力的な登場人物達の壮絶な過去を知り、
皆が作りたいと願う理想の未来を共に実現できるのか…
そして、「生きるとは?」
という我々が何気に日常的に行っている「食べる」という行為を通して
このシンプルな問いに、登場人物達の生死をかけた葛藤と
戦いを描いた作品に、もし、僕と同じ読むのに抵抗を感じた方にも、
この作品の魅力を伝えられたら幸いである。
ピックアップシーン
セリフ(主人公 カネキ)
-僕は小説の主人公でも何でも無い…
ごく平凡などこにでもいる読書好きの学生だ…
だけど…もし仮に僕を主役にひとつ作品を書くとすれば…
それはきっと… 悲劇だ
東京喰種 1巻 ♯001 悲劇 参照
ヒトを喰らう「喰種 グール」と呼ばれる化物が、この世界には登場する。
食物連鎖のトップに君臨する ヒト を食べるこの化物は、
ヒトの世界に身を潜め生きる為にヒトを喰らう。
この ♯001 悲劇 は、1ページ目をめくった瞬間から、
かなりインパクトのある描写から始まり、
主人公(金木 研 ※以後カネキ)の悲劇的な運命の始まりが描かれている。
カネキは親友と同じ大学に通う1年生で、無類の本好き。
親友と比べると、あまり積極的なタイプでは無く、
内気で一見地味な印象を持つ穏やかな青年だ。
この主人公は等身大のキャラクターで、
個人的には共鳴、共感出来る部分が大きく、とても身近に感じられた。
現実世界に存在しないようなヒーロー的なキャラでは無い事が、
むしろ東京喰種の世界と現実の世界が一瞬繋がった感覚を覚えさせ、
物語に引き込む要素にもなっていると思う。
マンガの中の世界が異世界では無い現実感をこの主人公が抱かせるのだ。
カネキは行きつけの喫茶店「あんていく」で、ある美女に恋をする。
同じ趣向、年齢、血液型など、共通点の多い部分に惹かれ、
二人は急接近していく。がそれが悲劇の始まりになろうとは…
まったく想像も出来ない展開に先がまったく見えない恐怖がある。
後半の部分はハラハラドキドキさせる展開で、息を飲む暇も無い。
リゼと呼ばれるこの美女は、世間で言ういわゆる、魔性の女?なのだが、
彼女との出会いが彼の運命を一瞬で狂わせる展開が、
冒頭からスピーディーに描かれている。
この♯001を読むだけで、たちまちこの不思議で残酷な世界に引き込まれるのだから
皆さんも是非、東京喰種のこの世界感を一度味わって欲しいと思う。