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 熊本県などでの一連の地震で、県は20日、避難生活などの身体的負担による病気で死亡したとみられる人が11人いると発表した。震災関連死の可能性がある。これとは別に、県は地震で直接の被害を受け、県警の検視を受けた死者は48人と発表した。同県南阿蘇村の土砂崩れ現場では同日、心肺停止状態とみられる1人が新たに見つかり、その後、死亡が確認された。一方、被災地で滞っていたボランティア受け入れの動きが始まり、交通網も一部で復旧してきている。

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 熊本県によると、11人には、地震後に避難所で過ごしている間に病気で亡くなった人や、肺塞栓(そくせん)症(エコノミークラス症候群)で亡くなった人などが含まれる。被災した市町村が震災関連死の可能性があると判断した死者数をまとめた。自治体ごとでは、熊本市7人▽益城(ましき)町2人▽阿蘇市、御船町各1人。

 益城町や遺族によると、同町では16日、平田地区の倒壊家屋から坂本ミヲコさん(83)が見つかった。また、同地区で坂本征男さん(77)が倒れて病院に搬送された。いずれも同日中に死亡が確認された。警察が検視をしておらず、県は震災関連死の可能性のある11人に含めた。

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 複数の住宅が土砂災害に巻き込まれた熊本県南阿蘇村河陽の高野台地区では、自衛隊などの捜索隊が夜通しで安否不明者の捜索を続けた。20日午前には新たに男性とみられる1人を発見。心肺停止状態とみられ、県警が身元を確認している。

 自衛隊によると、男性とみられる1人は20日午前9時過ぎに土砂の中から見つかった。捜索隊は重機での作業を止め、一角を緑のシートで覆って運び出した。自衛隊は19日から捜索を24時間態勢に拡大していた。

 熊本県警は20日、南阿蘇村の捜索現場で19日午後に心肺停止状態で見つかり、その後死亡が確認された女性について、鳥居洋子さん(37)=香川県東かがわ市=と確認されたと発表した。18日夜に死亡が確認された鳥居敬規(たかのり)さん(42)の妻で、南阿蘇村長野の「ログ山荘火の鳥」付近で見つかっていた。

 一方、南阿蘇村は20日午前、高野台地区で安否不明としていた人のうち、1人は「居住実態がなかった」として捜索対象から除いたことを明らかにした。20日午前11時現在、同地区で安否が分かっていないのは男性2人。

 また、同村の阿蘇大橋付近では、熊本県阿蘇市に住む熊本学園大4年、大和晃(やまとひかる)さん(22)が車で通行中に土砂に巻き込まれた可能性があるが、現場は被害が激しく、捜索のめどは立っていない。20日午前に村役場を訪れた父卓也さんは「現場の方もがんばっていて、他の方も耐えているのは知っているが、どうにか動いてくれないかと訴えていきたい」と話した。