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映画業界について

製作委員会

○製作委員会って何?

皆さんは、「製作委員会」という言葉をご存知でしょうか?映画作品のエンドクレジットなどで見た人が多いのではないかと思います。現在、映画作品の多くは、製作会社の表記が一社単独ではなく「○○○○○製作委員会」となっています。

製作委員会は、複数の会社により構成されます。その機能は、複数の会社が資金を出し合って、一本の映画を製作することにあります。そうすることで、「資金」「知恵」「得意技」など各方面で協力することができ、結果として、良い環境、良い条件で映画製作をすることができ、映画をヒットさせる条件を揃えることができます。

また、リスク回避という側面もあります。映画製作は非常に多額の資金を要する一方で、リターンが必ずしも約束されていないという、リスクの高いビジネスでもあります。かつて、一社単独で映画を作っていた時代は、多額の製作費をかけた大作が失敗に終わると会社自体の存続が危ぶまれるというようなことがありました。出資者を複数募っておくことでそのようなリスクを減らし、万が一、ひとつの作品で思うような結果が出ない場合であっても、その次の作品でリベンジができ、ビジネスが継続できる。そんな仕組みが製作委員会方式なのです。

製作委員会は、今や映画作りの主流となりました。2015年の東宝配給作品はすべて、何らかの形で製作委員会方式を取り入れて映画作りをしています

○製作委員会が生まれるまで

かつて、映画の製作は、映画会社が自社の撮影所で自社のスタッフ・俳優を使って全ての作品に全額出資することで行われてきました。監督や俳優による製作プロダクションとの提携も盛んに行われましたが、映画業界以外の「外部の資金」による映画製作が行われるようになったのは1980年代以降です。出版社、テレビ局、広告代理店、商社等が「利益を生む映画ビジネス」に興味を持ち、投資を始めたのです。

しかし、当初の出資のやり方は、映画会社がそれまで行っていたように、出版社やテレビ局が、それぞれ一社単独で映画を作るという方式でした。しかし、「成功したときのリターンは大きいものの、必ずしも作品がヒットするとは限らない」のが映画ビジネスの特徴です。そのことが、外部の出資者にもわかってきました。

こうした中で必然的に登場してきたのが「製作委員会」だったのです。また、時代はメディアの発展とともに、急速に「ソフトビジネスの価値」を押し上げていました。映画は、映画館で上映するだけのものではなく、DVD・配信・衛星放送・キャラクタービジネス等、「無限の可能性を秘めるビジネス」へと成長していたのです。

○「大ヒット」へ向け各社が協力

製作委員会の効果

出資をすることで映画がヒットした場合、出資以上のリターンがあります。低金利時代において日本映画は「有力な投資先」にまで成長したのです。

さらに、製作委員会に参加した会社はそれぞれの社業においても恩恵をこうむることができます。出版社は原作本の販売が伸び、テレビ局は有力なソフトの放映権を得ることができます。商社を通じて協力したコンビニチェーンは限定販売のキャラクター商品を発売することができます。

こういった恩恵の全ては「映画がヒットすること」が前提なので、映画公開の前には各社が自社の媒体を使い、それぞれの「得意技」を駆使して協力をします。
出版社は原作本の宣伝とともに映画を宣伝し、テレビ局はCMや情報番組をくみ、新聞社も記事や広告で協力をしてくれます。もちろん、映画会社である東宝は、配給・宣伝に総力をあげます。
こうした製作委員会方式の活用によって、ヒット作が生まれやすい構造となり、それによって日本映画に出資したい会社がさらに増えるという好循環が生まれているのです。

○東宝では

東宝はかつて、『ゴジラ』のような特別な作品を除いて、映画の製作本数を抑えていた時期がありました。しかし製作委員会方式による映画製作が盛んになってからは、年間ラインナップの大半の作品に何らかの出資をするようになりました。

『HERO』『バケモノの子』『ストロボ・エッジ』のように製作委員会の一員として参加した作品もあれば、『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド』『バクマン。』『orange-オレンジ-』のように製作委員会の中の幹事会社(リーダー的な存在)になるケースもあります。また、『名探偵コナン』のように東宝の映像事業部といった社内の一部門が出資をするというケースもあります。映像事業部は、『名探偵コナン』に出資することで同作品のレンタル向けDVDの権利を得ることができたのです。

今や日本映画は有力な投資先として注目は高く、「得意技」のある企業だけが製作委員会に入ることができるという状況です。このようにして集まった各社のコラボレーションが、映像ビジネスに無限の可能性を与えると我々は考えています。そのスタートとなる知恵袋が、「製作委員会」なのです。

出資配分相関図