2016年04月19日
4月19日/19:00/吹田SG大阪 1-2... 続きを読む
紛糾する広島スタジアム問題。広島サポーターは旧広島市民球場跡地への建設を望んでいる。(C)Getty Images
どうして、旧広島市民球場跡地にスタジアムを造ってはいけないのでしょう。
東京在住の人にそう質問され、言葉に窮した。
わからない。
それが答えである。
「旧市民球場跡地にサッカースタジアムを」
この主張を完全否定できる力のある反証は、もはやない。
コスト? サンフレッチェ広島の久保允誉会長は、自ら経営トップを務めるエディオンと個人で30億円を投資する用意を言葉にして、「県や市からの税金を投入しない」と言い切った。これにより、コスト面の課題は消滅した。
「3万人収容のスタジアムを建設するには手狭」
この課題に対しても、久保会長が「2万5000~7000人が適正規模」と主張したことで解決した。
国際試合を呼ぶという条件についても、日本サッカー協会が定めるスタジアム条件では、2万人~4万人規模が「クラス1」となり、A代表以外の国際大会はこのサイズで招致できる。「3万」という基準は、サッカー界にはどこにもない。
「年間20試合・約30万人の観客動員実績では、広島市中心部の建物としてはもったいない」
かつてこの地にホームスタジアムを構えていた広島カープの、当時の最大観客動員数が約140万人。その数字を目処として、この地から球場が移転する際、後継施設は「150万人動員」がノルマとされていた。
だが、そのラインは行政自らが「こだわらない」としてしまい、今では誰も持ち出さない。
実際、広島市がこの地に建設を目指しているのは、屋根付きの緑地公園。そこでイベントを開催して賑わいを作るということだが、昨年度の旧市民球場跡地での実績は58日間のイベント開催で75万1100人だ。
平均1万2950人という数字は、サンフレッチェ広島のリーグ戦平均観客動員数(1万6382人※2015年)よりもはるかに下。アクセスや立地に大きな差(もちろん、エディオンスタジアム広島が不利である)が存在するにも関わらず、だ。
つまり、「サッカースタジアムが賑わい創出には役立たない=旧市民球場跡地には造れない」という議論は、もはや成立しない。
「平和公園から続く祈りの場所。スタジアムは似つかわしくない」
なるほど。
実は、平和記念公園から原爆ドームと続く流れが途切れる「連続性」を問題として、過去の議論ではサッカースタジアムが「市民ニーズが高い」とされていたにも関わらず、否定されてきた。その間に広島のメインストリートのひとつである相生通りがあって、事実上分断されているにも関わらず、だ。