新たなツイッター大中華圏の董事総経理がかつて中国公安省と協力してインターネットをフィルタリング(監視し情報を制限)する商品を開発する企業のトップだったことで、2009年から中国本土で使用できなくなっているツイッターに対する疑念が生じている。
ツイッターは15日に陳葵氏に対し、中国企業が「さらなる価値を創造できるようツイッターのプラットフォームと技術資産を生かす方法を見いだす」任務を任せた。
だが、陳氏のリンクトインのプロフィルには、1999年から2005年まで冠群金辰軟件の最高経営責任者(CEO)だったとある。陳氏は同社を「コンピュータ・アソシエイツ(現CAテクノロジーズ)と公安省による合弁会社」だと説明している。同社在職中の職務は「商品やソリューション、セキュリティー関連アプリケーション、総合サービスの提供を行う情報セキュリティー産業に特化していた」としている。
冠群金辰のウェブサイトに掲載されているクライアント一覧には、「防火長城(グレート・ファイアウオール)」という名で知られるようになった中国のネット監視システムを担う中国国家インターネット緊急対応センター(CNCERT)も含まれている。
04年に中国の大手ポータルサイト、捜狐(ソーフー)とのインタビューの際、陳氏は冠群金辰を、「メール監視の出入り口」だと自ら呼んだウイルス対策ソフトの背後にあったと述べた。
陳氏は同社の目的をウイルスとスパムに加えて「有害な情報」をフィルタリングすることだと話した。中国が禁じる精神運動を引き合いに出し、「まだ法輪功に関する情報や政治的にデリケートな情報、有害な情報が存在しており、そうした内容をフィルタリングする」と同氏は述べた。
■ツイッター「検閲技術の開発していない」
ツイッターは今回の決定を曲げず、陳氏の過去の職務には検閲技術の開発は含まれていないとフィナンシャル・タイムズ紙にメールで答えた。「陳氏が携わったのは主にウイルス対策のソリューションやコンテンツ管理ソフトの法人販売だ。ネット監視とはなんら関係ない」と同社は記した。
また、04年の捜狐のインタビューでのコメントについては、検閲ツールとしてではなく、ウイルスやスパムの検知を目的としたウイルス対策ソフトの話の流れであったとも付け加えた。「法輪功はその文脈において企業にとって望ましくない情報の例として挙げられたものだ」としている。
陳氏はこの他に、1987年から1994年にかけて人民解放軍と関連のある研究所のジュニアエンジニアとしても働いたことがある。
ツイッターは、80年代には中国政府による大卒の採用は普通に行われていたと指摘し、陳氏のコンピューターサイエンスの学位がそうした職に就くには有利だったと述べた。
陳氏からコメントは得られなかった。CAテクノロジーズにも電話とメールで取材を試みたが、コメントは得られなかった。
By Charles Clover
(2016年4月19日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
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