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学園ギルドでぼっち野郎が一人います 作者:垣猫みつる

エピソードone A-1

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アレリアという女

12月末まではどんどん更新します
 ピンポーンとったのは何時頃なんじごろだろうか。
 みちこさんの家には基本的きほんてきに人が来ないので、二階の自室でていた俺は飛び起きた。
 すると、一階から玄関げんかんの扉を開ける音がした。

だれ、だ……?」

 俺は耳をませてやり取りを聞くことにした。

――久しぶりだな、ミチコ。
――ええ、お久しぶりです、アレリア。

 なんか親しげな口調くちょうだな……。これを聞く限りでは『友人ゆうじん』か『関係者かんけいしゃ』ってとこだ。
 俺がそう考えている間にも、話は着々(ちゃくちゃく)と進んでいく。

――やはり、あのの事で……?
――ご明察めいさつ。しっかり考えてくれていたのだろ?
――え、ええ。ですが……

 あの手紙って、俺が飯を取りに行ってたときのか……?
 その時の事を思い出しながらもまだ終わりそうにはない話も耳に入れ込む。

――ふむ。大体は分かる。まだ言ってないのだろ?
――どうにも言う機会きかいが……ね、
――なら、私が直接ちょくせつ伝えよう
――任せましたわ

 そして話が途切とぎれたと思うと。

 「…………っ!!」

 すごい視線しせんを感じた。
 そしてそれは確実かくじつに俺に向けた視線だった。
 俺は一つ気付きずいた事がある。

 あの女は――ない……!!

 そして知らぬ間に二階へと上がり、俺の部屋の前まで来ていた。
 そこではっせられる言葉に俺は動揺どうようを隠せなかった。

「やはりの息子だ。私の視線を感じ取り、その上、警戒態勢けいかいたいせいをも構えるとはな」

 そう。
 自分でも気付かなかったが、俺は寝転ねころんでいたベッドから自然に自室の扉——向こう側にいる女に向かって構えを取っていた。

 まさか扉の向こうで俺の行動を全て感知している!?
 いや……そんな言葉じゃ足りない。
 この女、俺自身を扉越しから見ていたのだ。

「こんなとこで一方的な威嚇いかくをされても私は困る。取り合えず入らせてもらう」
「…………!!」

 そして、部屋の主の許可無きょかなしで問答無用もんどうむようと言わんばかりに入ってきた女に俺は目を見開みひらいた。
 金髪きんぱつに少し茶色を混ぜ混んだロングヘヤーの髪に、まるでひとみが燃えているような緋色の眼。
 輪郭りんかくは顔全体を活かすように、目、鼻、口をどれも完璧な配置に置いてあるかのように出来ていた。
 だが、そこが問題ではない。
 俺を試しているのだろうか? その女の周りを包み込むようにして出来ているむらさき霊態ゲシュペンストは、刻一刻と俺をむさぼり尽くそうと此方こちらにその力を無理やり喰い込もうとしてくる。

「そんな子供騙こどもだましはどうでもいい……!! 何の用がある!?」
「まさかここまでとはな。意識は正常、心拍数しんぱくすうの変化はほとんどなし、、、ときたか」

 そう言うと先程さきほどまでの威圧はどこへいったのか。
 もうすっかりの様な感じになっているその女に俺は、一時的に気を許す。

 「お前は何者何だ……?」
 「そんなに警戒けいかいするな。私は《聖=アンヘルカイド学園》代3期生の学園長、のち支配人総管理長しはいにんそうかんりちょうをやらせていただいている『アレリア・F・アルヴィ=クロッセ』だ」

 《聖=アンヘルカイド学園》……? 知らないはずがない。
 今から300年ほど前に創立した、特殊育成型とくしゅいくせいがた魔物まものを狩るだけを専門としているこの都市最大規模さいだいきぼかつ、なのだから。
 てことは、このアレリアってのは学園設立がくえんせつりつに全てを身をささげたげた男『クロッセ』の引継ひきつぎ役なのか……!?
 そんなお偉いさんが、なぜ俺に会いに来たんだ……?

「何を黙っている? 私が自己紹介したのだからお前もしろ」

 ちっ、取り合えずは従う他ないようだ。
 俺は完全に警戒状態を止め、アレリアに向かい合った。 

「……えっと、俺は『錐峪きりたにアヤト』だ……っ」
「素直で宜しい! これで本題へ移れる」
「本題だと……??」

 本題って何のことだろうか? もしかして……このご時世に貢献活動こうけんかつどうを一切放置して引きこもっていたから刑罰ただばたらき……とかか……?
 急激きゅうげきに冷めていく俺を露知つゆしらずに、次々と話をするアレリア。
 その半分近くを聞いていなかったため詳しい内容は分からないが、アレリアは「これが一番重要だ」と言って俺の肩をつかんだ。

 そして俺の人生を変える本当に重要なことをそのなまめかしい口から放ったのである。


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