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アレリアという女
12月末まではどんどん更新します
ピンポーンと鳴ったのは何時頃だろうか。
みちこさんの家には基本的に人が来ないので、二階の自室で寝ていた俺は飛び起きた。
すると、一階から玄関の扉を開ける音がした。
「誰、だ……?」
俺は耳を澄ませてやり取りを聞くことにした。
――久しぶりだな、ミチコ。
――ええ、お久しぶりです、アレリア。
なんか親しげな口調だな……。これを聞く限りでは『友人』か『関係者』ってとこだ。
俺がそう考えている間にも、話は着々(ちゃくちゃく)と進んでいく。
――やはり、あの手紙の事で……?
――ご明察。しっかり考えてくれていたのだろ?
――え、ええ。ですが……
あの手紙って、俺が飯を取りに行ってたときのか……?
その時の事を思い出しながらもまだ終わりそうにはない話も耳に入れ込む。
――ふむ。大体は分かる。まだ言ってないのだろ?
――どうにも言う機会が……ね、
――なら、私が直接伝えよう
――任せましたわ
そして話が途切れたと思うと。
「…………っ!!」
すごい視線を感じた。
そしてそれは確実に俺に向けた視線だった。
俺は一つ気付いた事がある。
あの女は――危ない……!!
そして知らぬ間に二階へと上がり、俺の部屋の前まで来ていた。
そこで発せられる言葉に俺は動揺を隠せなかった。
「やはり彼奴の息子だ。私の視線を感じ取り、その上、警戒態勢をも構えるとはな」
そう。
自分でも気付かなかったが、俺は寝転んでいたベッドから自然に自室の扉——向こう側にいる女に向かって構えを取っていた。
まさか扉の向こうで俺の行動を全て感知している!?
いや……そんな言葉じゃ足りない。
この女、俺自身を扉越しから見ていたのだ。
「こんなとこで一方的な威嚇をされても私は困る。取り合えず入らせてもらう」
「…………!!」
そして、部屋の主の許可無しで問答無用と言わんばかりに入ってきた女に俺は目を見開いた。
金髪に少し茶色を混ぜ混んだロングヘヤーの髪に、まるで瞳が燃えているような緋色の眼。
輪郭は顔全体を活かすように、目、鼻、口をどれも完璧な配置に置いてあるかのように出来ていた。
だが、そこが問題ではない。
俺を試しているのだろうか? その女の周りを包み込むようにして出来ている紫の霊態は、刻一刻と俺を貪り尽くそうと此方にその力を無理やり喰い込もうとしてくる。
「そんな子供騙しはどうでもいい……!! 何の用がある!?」
「まさかここまでとはな。意識は正常、心拍数の変化はほとんどなし、、、ときたか」
そう言うと先程までの威圧はどこへいったのか。
もうすっかり別人の様な感じになっているその女に俺は、一時的に気を許す。
「お前は何者何だ……?」
「そんなに警戒するな。私は《聖=アンヘルカイド学園》代3期生の学園長、後に支配人総管理長をやらせていただいている『アレリア・F・アルヴィ=クロッセ』だ」
《聖=アンヘルカイド学園》……? 知らないはずがない。
今から300年ほど前に創立した、特殊育成型の魔物を狩るだけを専門としているこの都市最大規模かつ、最終兵器なのだから。
てことは、このアレリアってのは学園設立に全てを身を捧げた男『クロッセ』の引継ぎ役なのか……!?
そんなお偉いさんが、なぜ俺に会いに来たんだ……?
「何を黙っている? 私が自己紹介したのだからお前もしろ」
ちっ、取り合えずは従う他ないようだ。
俺は完全に警戒状態を止め、アレリアに向かい合った。
「……えっと、俺は『錐峪アヤト』だ……っ」
「素直で宜しい! これで本題へ移れる」
「本題だと……??」
本題って何のことだろうか? もしかして……このご時世に貢献活動を一切放置して引きこもっていたから刑罰……とかか……?
急激に冷めていく俺を露知らずに、次々と話をするアレリア。
その半分近くを聞いていなかったため詳しい内容は分からないが、アレリアは「これが一番重要だ」と言って俺の肩をつかんだ。
そして俺の人生を変える本当に重要なことをその艶かしい口から放ったのである。
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