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INTERVIEW インタビュー

vol.01 シングル「最&高」オフィシャルインタビュー

INTERVIEW

大人になった、きゃりー

――音楽活動5周年ということで、まずは、きゃりーさん自身の率直な気持ちを聞かせてください。

きゃりー:デビューしたした時は、歌を歌うきっかけをもらったんでやってみようみたいな気持ちだったんですけど、ファンの皆さんとスタッフさんに支えられながら、あっという間に5周年まで迎えられて、とても感謝してます。5周年というより、自分が23歳になったということに驚いてます。もうすっかり大人だなという印象です。5年前は18歳だったんで、お仕事する時は周りにいるのはほとんどの方が年上の方だったんで。でも今は20歳以下の子とも仕事するし、なんかお姉さんになったなと思います。

――デビューしたばかりの頃は、大人ばかりの中で仕事をするのは、大変だと感じましたか?

きゃりー:いや、なんかすごい無敵な感じでした(笑)。すごく強気で、尖ってた感じですね。今となっては、それがすごくよかったんだと思います。今は23歳にもなって、自分の考えばっか言わないでもうちょっとスタッフさんの意見を聞いてみようとか、うまくバランスを考えてみられるようになりました。大人になった気がします。

――逆に言うと、デビュー当時は、若者らしく自分の考えで突っ走るというところがあったんでしょうか。

きゃりー:先のこととか全く考えてなかったし、そもそもここまで多くの人に自分のことを知ってもらえると思ってなかったので、「やるからにはスーパー自己満足のことをやりたい」と思ってたんです。だから自分の意見をいろいろ通していたんですけど、やっぱり今は、小さいお子さんから大人の方まで、いろんな方にファンになっていただいているので、みんなが楽しめることを考えて活動しています。

――自分が多くの人から受け入れられたのは、意外だったということですか?

きゃりー:めちゃくちゃ想定外で、意外なことでした。最初は分からない人には分からなくていいけど、「いい」って思ってくれる人のためにやりたいな、と思っていたんです。受け入れられたことで、サブカルチャーがサブカルじゃなくなる、みたいに思いましたね。だから、これがポップなものとして評価されるんだったら、また別の考えでやっていきたいなって思うようになったんです。

――多くの人に注目された結果、自分のやりたいことができなくなるという不満はなかったですか?

きゃりー:表に出れば出るだけ、いろんな人から意見されることが多くなってきちゃうんで、できなくなることもあります。やり過ぎたら怒られることもありますね。たとえば「ふりそでーしょん」の時に、PVの演出で「お酒を飲んで酔っ払う」みたいな演出をしたんですけど、イッキ飲みを助長するって言われたりとか。そういった部分は少し悲しいですけど、過激なものとか気持ち悪いものでも、みんなが楽しめるギリギリでやっていきたいなと思ってます。その範囲で、常に唯一無二の存在でいたいなと思っていますし、誰もまだ見たことないこと、やったことないことを、やっていきたいですね。

――「ふりそでーしょん」は飲酒でしたが「もんだいガール」なんかは恋愛についてきゃりーさん自身の意見を歌ったものになっています。自分では次第に大人らしい曲も歌うようになったと感じていますか?

きゃりー:中田ヤスタカさんと会った時に話したことが歌詞に反映することが多いので、後で聴いてみて「ああ、この時はこんな気持ちだったんだな」と思えるものにはなっていると思います。「もんだいガール」については、自分の思いや不満をぶつけるカッコいい曲になったんですけど、新しいシングルの『最&高』に関しては、「そう来たか!」という感じですね。もともとTwitterとかLINEで「最&高」って言葉を使ってたんです。ちょっと自分の中で流行っていたんで。だけどそれが半年後ぐらいに曲のタイトルになって、驚きました。曲のタイトルは今まで、ひらがな表記が多かったんですけど、今回は初めて「最&高」って感じになったので、これは心機一転、ちょっと5周年だからこその新たなスタートらしい曲なのかなってワクワクしました。

ファンタジーと超日常が同居する新しさ

――自分自身としては、5周年以降に何か新しいことをやってみたいと思うことはありますか?

きゃりー:もともと、きゃりーぱみゅぱみゅってポップでファンタジーで、かわいらしいものを作ってきたんですけど、大人になっていくうえで、まだどうなるかはわからないですけど、いいバランスで進化していきたいなと思います。最近はバラエティ番組のMCにも挑戦したりとか、今までやったことのないことに挑戦しているので、そういうふうに可能性を広げていきたいです。

――恋愛の話とかも、「もんだいガール」では歌っていましたけど、テレビとかで直接言ったことはないですよね。

きゃりー:あんまりないですね。別に答える必要もないなあと思うんで、聞かれても答えないですし(笑)。

――聞かれることってあるんですか?

きゃりー:たまにありますね。でも恋愛に対しての考え方とかは話しますけど、リアルな話はそんなにしないです。私の普段の恋愛なんて、別にファンの人も知りたいと思わないと思うんですよ。みんな、作品を作ってるきゃりーぱみゅぱみゅが好きだと思うので。あと、そんなにネタないですし(笑)。

――じゃあ、これからもプライベートな部分と仕事の部分ははっきりわけていく感じですか?

きゃりー:そうですね。ただ、私はTwitterではめっちゃ、超プライベートな話を書くんですよね。でも仕事をしている時は「私生活が見えない」って言ってくれる人もいるんです。不思議ですよね。仕事ではファンタジックなこととか、あまり人間っぽく見えないようなこともやっているので、本当はプライベートを見せない方がミステリアスにできるんですよね。けれども、一方で「ラーメン食べてる」とか、すごく身近なことを書いたりしている。そのバランスが面白いし、何か新しいんじゃないかなと思います。自分でも、そんな人ってあんまりいないなって思うし、これが2016年だって感じですね(笑)。

――なるほど。では仕事の中身についてはどうでしょう? 何か新しいことをやってみたいという気持ちはありますか?

きゃりー:実現できるかどうかを考えずに言えば、個人的には日本のいろんな場所、野外とかお寺とかパワースポットとか、そういう場所でライブして見たいですね。あとは、かわいいスナックやキャバレーみたいな場所とか。それから、ファンクラブ限定みたいに、ちょっと少ない人数の前でもやってみたいなあって思います。今までは、世界観を1から作っていくライブをやっていたんですけど、元からある場所に自分が入っていって、そこに染まることもやってみたい。そうすると、毎回の会場で全く違うことができちゃうなあと思って。ちょっと実現は難しいかもしれないですけどね。

5周年のライブは「5」推し!

――5周年ということで考えると、音楽活動を初めて一番最初にやったライブのことは覚えていますか?

きゃりー:いやもう、「こんな素人がステージ上がっていいんですか?」みたいな感じでした。最初は、中田ヤスタカさんが後ろでDJをしていて、私はなんか自分でスタイリングした私服で、Tシャツとスカートみたいなので登場しました(笑)。振付も全然付いてなかったですし、自分自身こんなんでステージ上がっていいのか、って思った覚えがありますね。

――なるほど。今年はワールドツアーも予定していますよね。最初のワールドツアーを行った2013年はどうでしたか? どういう心境だったでしょうか。

きゃりー:もうとにかく不安でしたね。

――海外の人にどう思われるかがですか?

きゃりー:いや、そもそも海外の人がライブに来るかどうかですね。もともと海外に行くことになったのは、YouTubeでのPV再生回数とか、コメントとかが、海外の方がすごく多かったせいなんです。だけど、動画を見てくれているからといって、わざわざチケットを買ってライブに行くだろうか? と思ったんですよね。会場入りしてからも、それがけっこう心配でした。

――さっき、日本で多くの人が受け入れてくれたのは意外だったと話されてましたが、ということは海外でライブに人がたくさん来たのも意外なことでしたか?

きゃりー:意外でしたね。あと、日本でもこれから頑張らないといけないという時に、海外にも出て行っちゃったんで、ずっと頑張り続けなきゃいけないという緊張感もありました。だけど実際にやってみたらやっぱり受け入れてもらえたので、「大丈夫だった!」みたいな感じで、また無敵に戻るんですけど(笑)。

――今年のライブツアーは5周年と絡めた表現を行う予定はありますか? 特に日本の会場の場合かなと思いますが。

きゃりー:今年はもう、「5」推しですね。今までにやったライブの要素をさらに発展させながら、「5」を推していきたいと思っています(笑)。

――5周年ということで、ツアー以外にもさまざまな活動が予定されていますよね。たとえば他アーティストとのコラボレーション企画とか。こういうものについては、きゃりーさん自身も企画に関わっているのでしょうか?

きゃりー:コラボレーションは以前からやってみたかったんです。私はいつも一人で歌っているので、グループとかユニットの人たちはいいなと思っていたんです。誰かとコラボして、もしそれが音楽なら一緒にミュージックステーションに出たりできたら面白いですね。まだ具体的に誰とやるとは言えないんですが、楽しみにしていただければ。個人的には海外のアーティストにすごく興味があるので、そういう人とやってみたいですね。

ニューシングル『最&高』制作秘話

――そんな中で、5周年を象徴する曲としてリリースされるのが『最&高』なわけですね。先ほども少しお話がありましたが、具体的にはどういう内容の曲ですか?

きゃりー:コカコーラのCMソングなんです。そのCMもちょっとドキュメンタリータッチというか、ライブに向けて練習するんだけれどうまくいかなくて、落ち込んでたときに、コカコーラを飲んでライブを成功させる、みたいな内容ですね。曲もそれと同じく、Aメロは、少し落ち着いた感じで、サビでぶち上がるみたいな曲になっています。

――もともと、きゃりーさんの活動で「うまくいかなくて落ち込む」ということはありますか?

きゃりー:辛いことはないですね。ただ、ダメな時はいきなり何かが起きることのほうが多いので、落ち込むというよりびっくりすることのほうが多いです。でも「え、いきなり?」って驚きますけど、そのぶん切り替えは早いと思います。ダメだったことは、まあダメだったとしてで、今後頑張っていこう、みたいな。

――例えば、5年間の活動を振り返って、一番大変だったことってなんですか?

きゃりー:うーん、あんまりないですけど、ただやっぱり最初の頃とかは、各メディアに挨拶とか行っても「変わった名前だね~」とか「まあこの業界大変だと思うけど頑張ってね~」とか言われていたんです。それはいいんですけど、すごく頑張った結果テレビに出るようになったりすると「やっぱ絶対きゃりーちゃんはクると思ってたよ~」みたいに言われたりして、それは辛いというよりムカつくな、って思いましたね(笑)。最初はやっぱりイロモノというか、なんか変な子が出てきた、みたいな感じだったんですよね。曲とかも、「変な曲だねー」とか言われたり。それが今は「すごく耳に残るし、カラオケでも絶対歌っちゃう」とか言われたりとかして、うん、よく頑張ったなー、って感じです。見返してやろうという気持ちがエネルギーになって頑張れた部分もあるので、今となってはよかったです。

――やっぱり今後も、分からない人には分からないだろうけど、とにかく頑張っていこうという気持ちが強いですか?

きゃりー:そう思いますけど、ただ今回の『最&高』という曲は、歌詞もすごくいいし前向きに頑張れるので、「きゃりーぱみゅぱみゅって、いっつもフワフワした曲ばっかり歌ってるよね」と思ってる人も、これ聴いたらだいぶ印象変わるんじゃないかなって思いますね。振り付けも「最&高」っていう言葉をすごく主張してて、何回も出てくるんで、ファンの皆さんもみんなで歌って、踊って、盛り上がれたらなと思います。今回はジャケットやPVも、みんなちょっと意外に思われるかもしれないです。PVの監督は新しく田中秀幸さんにお願いしていて、巨大な倉庫で私がロボットになって動く、みたいな内容です。ジャケットの方は、連続写真みたいなやつなんで、これもまた説明しにくいんですけど、なんというか最高軍団みたいな感じになっていて。

――逆立ちというか前転しているような写真もありますね。

きゃりー:はい。体張ってます。本当にワイヤーを付けて、宙吊りにされながら撮影しました。だからこの時、腰をやられましたね(笑)。初回版の方もスタイリストさんがたまたま持ってきたお洋服で撮ったら、お花みたいなきれいなジャケットになって、よかったです。

奇跡のようで、偶然じゃなかった5年間

――カップリング曲の「コスメティックコースター」は、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンでの、きゃりーさんのアトラクションのテーマソングですよね。

きゃりー:この曲はもう、本当にワクワクのジェットコースターに乗ってるような曲ですね。お化粧箱の中をひっくり返したかのような、結構わちゃわちゃした、かわいらしい曲なんです。でもサビの部分が少し切ない感じのメロディだったりもするので、ワクワクする部分と、そのワクワクが消えちゃうような切なさを味わってもらえると思います。

――USJのアトラクションになった経緯はどういうものだったんですか?

きゃりー:マネージャーさんに、軽く「もしUSJでアトラクションやるんだったらどんなのがいい?」みたいに言われて、その時はまさか本当にやるとは思ってなかったんで、自分のプロモーションビデオみたいな世界観にできるならジェットコースターがいいなあ、みたいに言ってたんです。だけどそれがだんだん本当になってきて。ジェットコースター内で自分の曲が流れるのってすごくうれしいですね。そんなことが可能なのか! って思いましたし。

――実際に完成したものをご覧になった感想はどうですか?

きゃりー:バーチャルな世界を360度見渡せるアトラクションというのは世界初らしいんですよ。実際、本当にすごく新しい乗り物だなあって思いました。あと、USJの「ユニバーサル・クールジャパン」の中に自分がいるというのがだいぶヤバかったですね。他は「エヴァ」とか「進撃」とかですから。「ここまで来たか」って感じがしました。そもそも人間がアトラクションになることって滅多にないですよね。マイケル・ジャクソンの「キャプテンEO」みたいなものなので、誇らしい気持ちです(笑)。

――なるほど、わかりました。ではこのシングルCD『最&高』と、次のツアーが中心になると思うんですけど、自分自身としてはここからどのように5周年を盛り上げていきたいと思っていますか?

きゃりー:やっぱり、こう、ド派手に、いろんなことに挑戦していきたいなあと思うので、ファンの皆さんには楽しみにしていてほしいですね。だけど、まずはこの『最&高』という曲自体が、前向きにがんばれるような内容の曲なので、ぜひ聴いてもらいたいです。この曲の歌詞ですごく好きなのが「ミラクル まるで 魔法みたい それは 偶然なんかじゃない」という部分なんです。こうやって、いいPVやジャケットを見ていると、まさしく奇跡の写真だなあとか、奇跡のPVだなあとか思うんですけど、この曲を歌ってると、「それは偶然じゃない、こうなるべきことだったんだ」って、思えるような気持ちになるんです。すごく素敵な歌詞だなあって思ってます。

――なるほど。それはこの5年間の、きゃりーさんの活動自体がそういうものだったのかもしれませんね。

きゃりー:そうですね。ミラクルかなって思うけど、でも偶然なんかじゃないって歌ってると、やるべきことをやって、なるべきようになってたのかなって思います。

インタビュー=さやわか

初回限定盤
通常盤

「最&高」4月20日 発売

初回限定盤(CD+DVD)¥2,000(本体)+tax
豪華7inch LPサイズジャケット仕様

通常盤(CD)¥1,200(本体)+tax