反転戦略とは会計操作だったのだろうか
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引用:http://kigyoka.com/user/news/2270/main2.jpg


孫正義氏とソフトバンクが社運を賭けて買収した米携帯通信のスプリントで、実際より経営状況を良く見せかけていたと、アメリカで報道されています。

ソフトバンクの子会社と取り引きを行って、負債を2兆円も少なく、利益は大きく見せかけていたと書かれている。


合法的な粉飾決算?

日経新聞などの報道によると、ソフトバンク子会社の米スプリントが、会計操作をしている疑いが出ている。

ソフトバンク子会社のリース会社と取り引きする事で、利益を水増しし、債務を小さく見せかけているという。

この表に出ない取り引きよって、バランスシートを実際よりも良く見せかけて、株価を吊り上げた疑いもある。
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アメリカではこれは「合法的な行為」であって違法ではないとしているが、投資家や銀行を欺いていた事になる。

ソフトバンクとスプリントによる「合法的な行為」は次のように行われ、発覚しました。

16年4月初めにクレイグ・モフェっトというアナリストが「スプリントの債務は決算報告書よりかなり多い」と指摘しました。


モフェットのレポートでは決算に書かれている340億ドルではなく509億ドルだと書かれています。

実に3.7兆円から5.6兆円に24%も負債が増える事になりました。

2016年に入ってから、スプリントは外部リース会社と契約し、様々な端末や機材・設備の調達を始めた。


このリース会社が実はソフトバンクが所有する同じグループ企業で、会計上の見た目を良くするために利用されたとされている。

リース会社と架空取り引き(かは知らないが)する事で、利益は実際より大きく、コストは実際より小さくなった。

結果としてEBITDA(税引前利益に支払利息と減価償却費を加算したもの)が5割も改善されたとしています。



嘘つきはどっちだ?

ウォールストリートジャーナル(WSJ)やバロンズ、ブルームバーグのような欧米で権威ある経済メディアが一斉にこれを報じました。

「スプリントは数字の操作で利益をかさ上げした」などネガティブな論調でこの行為を批判しました。

「スプリントに巨額の隠し債務」などをメディアは取り上げ、アナリストはスプリント株を売るように勧めている。


最初に告発したモフェット氏は2015年12月の決算についても疑いがあるとしており、会計上の操作を示唆しています。

果たしてソフトバンクとスプリントがやった行為全てが「合法」なものだったのかは、事態の推移を見守る必要があります。

合法で在っても違法であっても、5.6兆円の負債を3.7兆円と偽っていたのに変わりは無く、投資家の信頼は揺らいでいる。


2016年2月10日のソフトバンク決算説明会で、孫正義代表は次のようにスプリント事業を語っていました。

「これがEBITDAですけれども。償却前の営業利益、スプリントが著しく改善してきてるというのがおわかりいただけると思います。」

「ソフトバンクはスプリントで苦しんでると言われるが、これからグループの稼ぎ頭になる」と説明していました。


先ほどのモフェット氏は、スプリントのEBITDAは「5割も水増しした」と指摘していたが、孫氏は「著しく改善した」と言っています。

スプリントの将来には「ワクワクしている」とまで、マスコミや投資家の前で話しています。

これはどちらか一人が嘘を付いていると考えざるを得ないので、ぜひ孫正義氏本人から説明して欲しいところです。


孫正義氏はこのグラフを見せ「こんなに改善している」と説明しました。
th_03EBITDA
引用:http://i0.wp.com/img.logmi.jp/wp-content/uploads/2016/02/th_03EBITDA.jpg



見せたくない負債

米国ではスプリントの見えない負債と呼ばれていて「見せられない負債」や「見せたくない負債」とも言われている。

4月6日にスプリントは通信ネットワークを30億ドルで売却したが、売却先がまたソフトバンクの子会社だったと報道されている。

この取り引きでスプリントは売却益22億ドル(約2400億円)を得て、売却後も設備を使い続ける事ができる。


まさしく負債は小さく、コストは少なくなり、利益は大きくなったのでした。

不思議なことにソフトバンクのこの不透明な行為を、日本のマスコミはあまり報道していません。

「報道の権利」を口を酸っぱくして主張しているのに、どこかから「見えない圧力」でも受けたのだろうか?


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