韓国 旅客船沈没から2年 引き揚げは困難な作業に

韓国南部で旅客船セウォル号が沈没し、修学旅行中だった高校生など300人を超える犠牲者を出した事故から16日で2年となります。韓国政府は沈没した船体について、ことし7月の引き揚げを目指すとしていますが、作業は困難が予想されます。
おととしの4月16日に韓国南部の沖合で旅客船セウォル号が沈没した事故では、修学旅行中だった高校生など295人が死亡し、今も9人の行方が分かっていません。
事故から2年を迎える16日、韓国では現場の海域に近い島、チンド(珍島)や高校生たちが通っていた学校のあるソウル郊外のアンサン(安山)などで追悼の行事が行われます。
韓国の海洋水産省は14日に開いた記者会見で、沈没した船体について、ことし7月末の引き揚げを目指すと発表しました。船内に行方不明者が取り残されている可能性があるため、引き揚げは水深およそ44メートルの海底に沈没している船体を切断することなく、クレーンでつり上げるとしています。
しかし、記者会見に同席した引き揚げに当たる中国企業の担当者は、現場の海域は潮の流れが強く、船体の腐食も進んでいるため困難な作業になると話していました。
事故を巡っては、乗客の避難誘導を適切に行わず殺人などの罪に問われていた船長に対して無期懲役の判決が確定しています。
大勢の高校生が犠牲になったこの事故は、安全に対する意識の欠如ぶりを露呈し、韓国社会に大きな衝撃を与えました。