韓国で日本の酒人気が不動のものになりつつある。日本大使館などが開いた日本酒などの試飲イベントは盛況を博し、日本製ビールの輸入は急増。輸出が低迷するマッコリなどと比較し、日本の海外展開に学ぶべきだとの論調もある。一方で、試飲イベントに対し、原発事故が起きた福島周辺産の酒もあり、「安全性が憂慮される」と中止を求める市民団体も現れた。ほしい物には貪欲な人々と偏狭な論理を振りかざす一部の人…。酒文化から韓国人の本音の対日観をのぞいてみた。
■本場ドイツをしのぎ、実に30倍の伸び
日本全国計約100カ所の蔵元の酒を味わえる「ソウル・サケ・フェスティバル」が3月26、27両日、ソウル市江南(カンナム)区で、韓国の輸入会社と在韓日本大使館の共催で開かれた。
日本酒のほか、日本の焼酎や泡盛も紹介され、「海外で開く日本の酒関連のイベントとしては過去最大規模」(大使館)。有料にもかかわらず、若い男女を中心に約4千人が詰めかけ、日本酒などの柔らかい味わいを堪能した。
韓国で、日本酒は「サケ」という呼び名で通じ、韓国産の焼酎などに比べ、割高にもかかわらず、人気だ。日本の土産としても喜ばれ、「久保田」など特定銘柄を求めるファンも多い。
韓国紙、京郷新聞によると、2014年の日本酒の輸入量は3322トンで、05年と比べ、6倍に増加した。
この日本酒人気を上回り、韓国で市民権を得ているのが日本産のビールだ。
韓国農水産食品流通公社によると、昨年、韓国が輸入したビールのうち、アサヒやサッポロ、キリンなど日本産が全体の27%を占めた。輸入量は、前年比約45%増の4万6244トンで、約10年間に30倍近い伸びをみせている。
ビールの産地として有名なドイツやオランダ、ベルギーからの輸入量もはるかにしのいでいる。