ドキュメンタリー映画『Cu-Bop(キューバップ)』DVD発売記念上映会<アメリカ上映バージョン日本初上映!>

4月21日(木)19:00開場/19:30開演

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日時
4月21日(木)19:00開場/19:30開演
料金
¥1,800(1ドリンク付き)
会場
FACTORY(1F)
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日程
時間
4月21日(木)

19:00開場/19:30開演

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昨年夏にUPLINKで公開され、音楽ドキュメンタリーとしては異例の大ヒット作品となった『Cu-Bop』がついにDVD化。これを記念して、日本ではまだ上映されていない“アメリカ上映バージョン”を本邦初公開! 本作を激賛するジャズ・ミュージシャン菊地成孔氏のアドバイスにより、高橋監督が新たにシーンを加えたというこの再編集バージョンは、昨年末ニューヨーク・ハーレムの映画祭『African Diaspora International Fiim Fes』でベストフィルムに選出され、4月にボストンのバークリー音大で上映会が開かれるなど、全米各都市での巡回上映が予定されています(今回はこれに日本語字幕がつけられたものを上映します)。上映後には、高橋監督とDVDのリリース元であるディスクユニオンのジャズプロデューサー塙耕記氏のトークショーあり。




二人の天才ミュージシャン。一人はキューバへ残り、一人は国交の無いニューヨークへと去っていった。家族と仲間が待つ故郷へ放蕩息子が帰ってくるとき、一回だけの感動のセッションがはじまる──



映画『Cu-Bop』は、困難に直面しながらも、それをものともせずに、自分の音楽を演奏し続けるキューバのミュージシャンたちを記録したドキュメンタリー作品だ。キューバに残り音楽活動を続ける者、ジャズの本場であるアメリカ合衆国に移住する者…。その両者の元へ、監督自らカメラを持って自宅に泊まり込み、寝食を共にしながら『音楽が生まれる瞬間』を記録する取材方式によってこの映画は撮影された。ハバナの片隅の古びた住宅地、ニューヨーク・ハーレムのディープなラテン人居住区、カメラは驚く程近距離でミュージシャンたちを記録し、生活と共にある本物のキューバ音楽を活き活きと描き出してゆく。

「映画の歴史上、最も素晴らしいジャズシーンが収録された1本」

Miki GoralPAN AFRICAN FILM FESTIVALディレクター)

「故国を捨て、不安と焦燥に苦しむ者がいる。故国に留まり、深く研鑽を積む者がいる。『Cu-Bop』は両者の対決に立ち会った、スリリングな音と映像である」

四方田犬彦(映画史・比較文化研究家)


ニューヨークから禁断の祖国・キューバへ。
国籍が、肌の色が違っても、音楽があれば俺たちは手を取り合える──



『Kamita Label』はキューバ音楽のCDを制作する、日本人によるプロジェクト・チームだ。2000年のレーベル設立以来、数多くのCDをプロデュースし、キューバ国内の権威ある音楽賞にノミネートされるまでになった。しかし、近年になりキューバ音楽を取り巻く状況が大きく変化し始め、録音に参加した音楽家たちの生活も一様ではなくなった。

キューバのNo.1サックス奏者セサル・ロペスは祖国での活動を続ける選択をした。社会主義を堅持し、モノ不足が慢性化したキューバでは不自由な生活が当たり前。ジャズの音源チェックは古道具屋で漁ってきたレコードで行い、自宅倉庫を改装した即席の音楽スタジオにオンボロ楽器を持ち寄って、音楽仲間と熱いセッションを繰り広げる日々。一方、若き天才ピアニストのアクセル・トスカは、6年前に海外ツアーへ出た折、ニューヨークの音大のスカラシップを獲得して米国へ移住した。キューバとは長年、政治的敵対関係が続くアメリカ合衆国。あこがれ続けたジャズの聖地で理想の音楽を追求するが生活は決して楽ではなく、地下鉄に乗る金にも事欠き、ハーレムのボロアパートでコッペパンをかじって糊口をしのぐ毎日。こんな生活でも、数年前に経験した宿無しの日々を思えば、いくらかマシなのだが。

米国とキューバ、セサルとアクセルの日常に触れた『Kamita Label』運営チームは、思い切ってキューバでのレコーディングライブを企画する。アクセルのバンドメンバーは、一人は米国人ルケス・カーティス、もう一人はキューバからの亡命者を父に持つ在米キューバ人のアマウリ・アコスタ。それぞれにキューバ音楽への熱い想いを抱いた2人は、アクセルと共にキューバにやって来ることになった。キューバ、米国両政府の正式な許可を得ないまま、メキシコシティ を経由してどうにかハバナの空港へと降りたったアクセル一行。そして彼らが繰り広げる熱いライブが、キューバの若者から政府の役人まで、多くの人々の心を動かしてゆく…。


特別寄稿

「ブエナビスタ」以降のキューバを、
ジャズというアザーサイドから捉えた音楽ドキュメンタリーの傑作


菊地成孔(ジャズ・ミュージシャン)



 「電撃的」とも言って良い、バチカンまでが登場する、合衆国とキューバの急接近に戸惑いを隠せない人々も多いだろう。音楽映画史/記録映画史に名を残す「ブエナビスタ・ソシアルクラブ」に写し取られて以降、<「50年代のアメリカ」が保存され、絵にかいたような反資本主義的な清貧がガラパゴス化している国、キューバ>は、無数のテレビ番組や雑誌によって紹介されてきた。

 カメラさえ振り回せば、そこには、もっとも幸福だった時代のアメリカ車が走り回る、生けるノスタルジーの博物館であり、断末魔をあげ続けている資本主義社会を生きる我々が憧れざるを得ない、清く貧しく美しく楽しい人々の人生模様が記録された、夢のドキュメンタリーが出来上がる。そうした、トロピカリズムともケルティックとも違う、正に中米的、というより、端的に半世紀を超えた後の革命キューバという地上の奇跡を、合衆国はまたもや悪癖を発揮して、アメリカーナに改造してしまうのであろうか。

 本作は、そうした世界中のフォーカスがキューバに向けて絞られる直前に制作された、「ブエナビスタソシアルクラブ」が撮り残した、音楽大国キューバのアザーサイドである「ジャズ」を、日本人が追ったドキュメンタリーである。

 タイトルにある「キューバップ」とは、「キューバ音楽+ビーバップ」の合成語で、1940年代末期の言葉だ。40年代にニューヨークの地下で生まれ、世界中にインフルエンスしたビーバップ、極めてアフロアメリカン的、かつアングロサクソン的でもあったモダンジャズの始原に、最初に混血したのはキューバ音楽だったのである。

 しかし革命後のキューバと米国との関係により、「キューバップ」のファーストシーズンは、躍動的で美しい、ジャズ史の仇花として散る。

 本作はその半世紀後、つまり「現在のキューバに於けるモダンジャズ」にスポットを当てる。亡命してニューヨークに渡った気鋭のジャズミュージシャンと、地元の名士として圧倒的な人気と知名度を誇るジャズミュージシャンの共演を計画するのである。

 キューバは、ジャズミュージシャンの間では「超絶技巧の国」として知られている。国が運営するコンペティションで優勝すれば、家族を養ってゆけるだけの報酬が得られること、音楽、ダンス、歌唱の一家が多いこと、人々の暮らしの中に、音楽が密接に入り込んでいること、亡命ニューヨーカーとしてジャズミュージックに触れられる至近距離にいること等によって、技術力(特に、リズムに関する)もまた、ガラパゴス化しているのである。

 本作は、亡命者が故国で地元音楽家とコンサートを開く事の困難さと共に、彼らの、見た者誰もが驚嘆せざるを得ないであろう、圧倒的な演奏能力を余すところなく描いている。

 勿論、ここで言う技術は、単なるペダンチックでアスリート的なそれではなく、源流をアフリカにまでさかのぼる伝統音楽と密接に結びついた、情熱的かつモダンで芸術的なものだ。

 作中登場する演奏シーンは、プロアマ問わず全てが感動的で、実質上の主人公である、対照的な2人の天才肌のそれは言うまでもないが、白眉は、現在のブエナビスタソシアルクラブのピアニストであり、モントルー・ジャズフェスティヴァルのピアノソロ・コンペティションで優勝経験のある若手ピアニストによる「ムーンリヴァー」で、その素晴らしさは映画史に残るだろう。

 自室にあるボロボロのアップライトピアノから繰り出される、全身が音楽と一体化したかのようなエネルギッシュかつリリカルでスキルフルな演奏は、「普段着のままで神がかっている彼ら」の凄まじいアベレージを平然と見せつける。

 写真家でもある監督らしい、動く写真集とでも言うべき画面の誠実で写真的な美しさ、冒頭に書いた社会的な状況も併せ(本作は、作中に横たわる「非常な困難」をキューバが持ちえた最後の時代を記録しているかもしれないのである)、ジャズやラテンのみならず、全音楽ファン必見の作品だと言えるだろう。

『Cu-Bop CUBA〜New York music documentary』(2014年/日本・キューバ/スペイン語・英語・日本語字幕/103分)

*アメリカ上映バージョンの上映となります
*本編には日本語字幕がつきます

監督・撮影・編集:高橋慎一
製作:Kamita Label(高橋慎一+二田綾子)
出演:セサル・ロペス、エミリオ・マルティニ、ホセ・エルミーダ、オットー・サンタナ、ルイ・エレーラ、アクセル・トスカ、アマウリ・アコスタ、ルケス・カーティス、ロランド・ルナ、アデル・ゴンザレス、ミゲル・バルデス、イレアナ・サンチェス
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