「トッポッキ」は人差し指ほどの白いモチを真っ赤に甘辛く炒めたようなもの。もっぱら屋台で売っていて若い女性や子どもには人気だが、どちらかというと間食だ。韓国を代表する“料理”といって世界にPRするにはいささか寂しい。
世界化第1候補だった「ビビンバ」は韓国の大手食品メーカー「CJ」が専門店の「BIBIGO」を展開しているが、米国での調査では米国人が好む韓食のベスト3にも入っていない。
ちなみにビビンバで筆者は世界化キャンペーンに際し「彩りを台無しにする真っ赤なコチジャンを激混ぜするあの食べ方は何とかならないか?」と問題提起し「韓国文化をバカにするクロダ妄言」と袋叩きされた。しかし、最近は具の色彩が残るショーユ味のソースが登場し人気を得ている。やればやれる?
「韓食世界化」の不振であらためて指摘されているのは、食文化を総合文化としてとらえる視点の欠如。
海外での和食人気はクリーンで美的な料理以外に、食器やインテリア、シェフ(板前)や従業員のマナー(もてなし)など、総合的な日本文化への評価があるのに対し、韓食にはそれがない。ただ食べればいいだけで“文化”が感じられないというのだ。和食には「サケ(日本酒)」があるのに韓食にはまともな「韓国酒」がないという批判も出ている。
「韓食世界化」の自己批判で結局また「日本に学べ」なのだ。韓国の反日はこうした日本の影響力に対するイラ立ち、憂さ晴らしかもしれない。
●文/黒田勝弘(産経新聞ソウル駐在客員論説委員)
※SAPIO2016年5月号