フェイスブックはドナルド・トランプ潰そうと思えば潰せる。法的には無問題

2016.04.19 15:00
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「ドナルド・トランプ大統領阻止のためフェイスブックは何をすればいい?」

というタッチーな質問をフェイスブック社員が先月の恒例Q&AでザッカーバーグCEOにしていたことが、米Gizmodo独占入手のスクリーンショットで明らかになりました。以下がその画像ですが、社員投票でこの質問が5位になってますよ?


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これに続く年次カンフェレンス「F8」ではザックがトランプを公然と非難し、SNSの世論操作はいかん! 影響が大きすぎる!と警戒されているわけなんですが、実のところ法的にはどうなのか? 名門UCLAのEugene Volokh法学部教授に尋ねてみたら答えは意外なものでした。


フェイスブックが何をPRして何を隠そうと、それはフェイスブックが決めることだ。ニューヨーク・タイムズ同様、フェイスブックもその権利は米国憲法修正第1条(表現の自由)で守られている。


へ~。

もちろん、フェイスブックをマスコミという目で見ている人はそんなに多くないと思います。新聞とも雑誌ともニュースサイトとも、見た目が違いますからね。でももし仮にですよ? フェイスブックが表示のアルゴリズムをちょちょいといじってニュースの操作をはじめたとしても、それはトップニュースとボツ原稿を日々仕分ける編集長と、やってる仕事の中身は別に変わらないんです。

違いは、既存メディアの場合、ウェブも紙も媒体の政治的スタンスがみんなわかって読んでいるということ。社説や論説もたびたび出るし、ニュースの採り上げ方を見ていれば大体わかりますもんね。あと、フェイスブックほどの部数も抱えていません。

ところがフェイスブックはボツ原稿が何で、どういうバイアスで選ばれていて、それによってどう読み手の世界観が変わるのか、まったく知りようがないわけです。

世論操作はしない!といちおう建前上は声を大に言っているフェイスブックですが、2012年大統領選挙のときには密かにユーザー190万人のニュースフィードを操作していました。2010年には6100万人のニュースフィードをこっそり操作してリアルの投票行動にどんな影響が出るのか調べたこともあります。このときの論文では投票率は34万人ぶんも増えたという結果でした。2012年には70万人のニュースフィードをまたこっそり操作し、ユーザーの感情操作の実験を行なった実績もあります。結論をひとことでいうと、要するにフェイスブックはユーザーの感情を意のままに操ることができる、というものでした。

だから、トランプやばいと思ってフェイスブックが本気出してトランプの記事・写真・動画・言及を消し出したら、釣りとバズとミームだけでここまで爆走してきたトランプはもはや風前の灯火…髪の毛も逆流しちゃうわけですよ。しかもフェイスブックは操作してるなんて世間にこれっぽっちも言わなくていいんです。だってファースト・アメンドメント(憲法修正第一条)で守られているんだから。

「バーニー・サンダース候補やヒラリー・クリントン候補と組んでドナルド・トランプ関連ニュースを潰した場合は選挙応援だから、さすがに憲法修正第一条でも守られない。しかし『トランプの記事は我が社のサイトに載せたくない』と言ってるだけのことなら、それはやったって構わない。その権利は憲法修正第一条で守られている」(Volokh教授)

世界10億4000万人がニュースをシェアし、政治観をシェアし、候補が資金を大量に投じているフェイスブック。そのフェイスブックに中立性を守る法的責任が一切ないなんて、おもしろいなあ。


image by Frederic Legrand - COMEO / Shutterstock.com
source: New York Times, Nieman Lab

Michael Nunez - Gizmodo US[原文
(satomi)

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