九州道、復旧長期化…二つの橋で数十カ所損傷
14日から地震が続く熊本県益城(ましき)町と熊本市東区にある九州自動車道の二つの橋で、橋桁と橋脚の間に取り付けられた「支承(ししょう)」と呼ばれる重要部品の大半が破損していることが、九州大大学院の梶田幸秀准教授(地震工学)の現地調査などで分かった。損傷は数十カ所に上る。復旧工事は長期化が予想され、被災地に大きな影響を与えそうだ。
問題の橋は、14日に震度7を観測した益城町の益城熊本空港インターチェンジと嘉島(かしま)ジャンクションの間にある秋津川橋(121メートル)と木山川橋(867メートル)。
木山川橋の支承は縦約50センチ、横約30センチ、高さ約20センチの台座を上下に重ねた鋼鉄製で、支承は橋脚と橋桁のつなぎ目にある。車が通過する時の振動を和らげる役割があり、橋脚一つに4組付いている。梶田准教授が18日に調べたところ、大部分が本来ある場所からずれていたり、地面に落下したりしていた。いつ傷んだかは不明だ。
梶田准教授は「支承は揺れの負担がかかる部分なので損傷しやすいのだろうが、思ったより数が多い。支承が機能しなければ車は橋を走れない。大規模な復旧工事が予想され、通行再開まで時間がかかるのではないか」と指摘する。
西日本高速道路によると、支承などジョイント部分の損傷が確認された橋は両橋だけで、秋津川橋で2本の橋脚、木山川橋では十数本の橋脚で見つかった。地震による損傷は想定していなかったという。同社九州支社防災対策室は「想像以上の力が加わった可能性がある。復旧工事のため橋桁を持ち上げるなど大がかりな作業になる。復旧時期は見通しが立たない」としている。【飯田和樹】