「黄金伝説」展
2016年4月1日〜5月29日
愛知県美術館
社説地震と減災 政府の対応は適切か熊本、大分両県を中心に相次ぐ地震。安倍晋三首相は「政府一体となって災害応急対策に全力で取り組む」と指示したが、政府の対応は適切だったのか。教訓とするためにも、冷静な分析が必要だ。 まずは自衛隊派遣の在り方だ。政府は十四日夜に起きた震度7の地震を受けて二千人規模の自衛隊派遣を決定した後、十六日未明の「本震」後に二万五千人へと派遣規模を拡大。結果的に自衛隊を逐次投入する形となった。 しかし、これまでの観測ではなかったが、マグニチュード(M)6・5程度の地震が起きた後に、より大きな本震が起きることも、今回の地震で明らかになった。 大きな内陸地震が起きた場合、自衛隊を逐次投入するのではなく当初から大規模派遣を検討すべきことは、今回の教訓であろう。 在日米軍の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイによる食料品などの輸送支援の受け入れが適切だったのか、との疑問も残る。 中谷元・防衛相は「山間部などへの物資輸送、人員搬送に非常に適している」と説明するが、実戦配備後も事故が相次ぎ、安全性に不安が残る軍用機だ。 ほかに輸送手段がないのならともかく、政府側にオスプレイの日本配備を正当化する意図があるとしたら見過ごせない。賛否が分かれる機種だからこそ、災害時の派遣には慎重であるべきだった。 国民の命を守る災害応急対策は政府の最も重要な役割だが、被災地の状況に十分配慮すべきは当然だ。その点、政府が熊本県に「全避難者の屋内避難」を求めるに当たっては、どこまで被災地の実態を把握していたのだろうか。 雨の予報で「土砂崩れの可能性もあり屋内避難の必要があった」(河野太郎防災担当相)というが「余震が怖くて部屋の中にいられないから出た」(蒲島郁夫知事)のが現実だろう。いくら中央から指示を出しても、現場の状況や被災者の気持ちを把握していなければ、有効な対策とは言えまい。 災害応急対策は被災地に近く、現場を理解する地元自治体が主体となって取り組むべきだ。政府の支援は当然としても、自治体に権限や裁量を委ねた方が応急対策の実が上がるのではないか。 菅義偉官房長官は今回の地震を受け、憲法を改正して、非常時に権限を内閣に集中する緊急事態条項を設けることについて「極めて重く大切な課題だ」と述べた。本末転倒の議論である。 PR情報 |
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