【金子元希、北沢拓也】東京電力福島第一原発事故による放射性物質の拡散を防ぐための林野庁の事業で、委託先の航空測量大手「アジア航測」(東京、東証2部)が、森林の地形を調べた際の経費を不正に受給していたことが会計検査院の調査でわかった。検査院は、同社に支出した約2千万円を返還させるよう同庁に求める方針。事業費は、東日本大震災の復興予算から出されていた。
原発事故後、周辺の森林には放射性物質が拡散。大雨などで山肌が崩れ、放射性物質が下流に流れ出す恐れがあったという。同庁は2011〜12年度、崩れる危険がある地形を把握する調査を民間に委託した。
問題が見つかったのは、アジア航測が11年度に委託を受けた事業。同庁などによると、同社は11年12月〜12年3月、原発から主に半径20〜30キロの上空を航空機で飛び、レーザーを地上に当てる方法で地形を調べた。調査結果をまとめた報告書を同庁に提出し、人件費や測量費などを含む計1億6800万円の支払いを受けた。
しかし検査院が調べると、同社が99時間と報告した飛行時間のうち、30時間は同庁と関係のない別の仕事だった。福島から離れた他県上空を往復した事例も含まれていた。検査院は、過払いの約2千万円は不適切な支出にあたると判断、同庁に指摘する方針だ。
同庁は12年度、さらに範囲を広げて調査を行った。同社を含む5社が計約8億円で受注し、同社への委託費は約2億1千万円だった。検査院は今後、12年度分についても調べるとみられる。
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