【伊藤あかり】国の有識者会議が28日に発表した南海トラフ巨大地震対策(最終報告)は、被災時に個人や地域が自活する必要性を強調し、「家庭で1週間分以上の備蓄」を求めた。県が家庭に呼びかける3日分の2倍以上だ。そんな中、高い津波が予想される美波町では、行政と自主防災会、家庭が協力し、「1週間分」を確保しようとしている。
特集:南海トラフ地震の被害想定■ローリングストック
被災時に必要な飲料水(調理用も含む)は1人1日3リットルとされている。21食分と水21リットルがまずは必要だ。発表ではさらに、簡易トイレなどの生活用品の備えにも触れている。
県防災人材育成センターの宮内忠次長は「備えを言い出したらキリがないが、これまでより大きな被害が想定される以上、充実させる必要がある」と話し、「ローリングストック」という備蓄法を勧める。
センターの職員は家庭で非常食を日頃から食べ、減った分を買い足して必要量を維持しているという。「保存食というと難しく考えがちだが、無洗米や缶詰など日頃から食べるためのストックは家庭にあるはず。それらをうまく利用して、少しずつ増やしていってほしい」
■県は「3段構え」
県は、今年中に独自の経済被害規模を算出し、これをもとに新たな備蓄計画を策定する予定だ。
備蓄についての県の現在の対策は3段構え。1段目の家庭内備蓄は「3日分」を求めている。3日間は他の地域から援助が来るまでに必要な日数との計算だ。2段目は津波や火災などで家から持ち出せない分を市町村が準備する。さらに3段目は市町村で対応できない分を、県が流通備蓄で補うという考え方だ。
県は、被災時に優先的に食料などを供給してもらう協定を県内外の企業22社と結んでいる。在庫の変動や被災時の流通を考えれば、実際にはどの程度受けられるか分からないが、数を増やすことでカバーしたいという。
国が発表した経済被害想定によると、被災1週間後の県の最大避難者数は人口の約半分となる37万人。全員が食料を持たずに避難すると1週間分で777万食が必要になる。県の担当者は「保存場所もなく、行政だけで準備できる現実的な数字ではない」。家庭での備蓄は「1週間分は難しいだろうが、少しでも増やしてもらいたい」と話す。
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