生物と無生物のあいだ 福岡伸一
世界は分子によって作られています。
今私がタイプしているパソコンも、座っている椅子も。
皆さんが操作しているスマホも、そしてもちろん、あなた自身も。
全てのものはあまねく、分子によって作られているのです。
当然疑問がわいてきます。
私達生物と、そのへんに落ちている石の違いって何だろう。
こまかーく突き詰めていけば、私も、石も、分子でできているのです。
著者の福岡さんは分子生物学者で、生物の成り立ちについて研究をされている方です。
果たして生物とは一体何なのか、石と私たちはなにがどう違うのか。
気になる方におすすめの本です。
以下、amazonより内容紹介の引用
生命とは、実は流れゆく分子の淀みにすぎない!?
「生命とは何か」という生命科学最大の問いに、いま分子生物学はどう答えるのか。歴史の闇に沈んだ天才科学者たちの思考を紹介しながら、現在形の生命観を探る。ページをめくる手が止まらない極上の科学ミステリー。分子生物学がたどりついた地平を平易に明かし、目に映る景色がガラリと変える!
「極上の科学ミステリー」という文句はどこかしっくりきませんが、その他はよく内容を表していると思います。
一年会えば人は別の人
内容で一番、「おもしろい」と思った部分を、以下に引用させていただきます。
よく私たちはしばしば知人と久闊を叙するとき、「お変わりありませんね」などと挨拶を交わすが、半年、あるいは一年ほど会わずにいれば、分子のレベルでは我々はすっかり入れ替わっていて、お変わりありまくりなのである。
162,163ページより
この本のテーマは、この一文につまっていると感じます。
人間の細胞は常に壊され、同時に生産されています。
このバランスがとれているが故に、私たちは私たちの形を保っているのです。
半年間でも私の細胞の大半は生まれ変わっている。
半年前の私と、今の私。
意識下では一緒の人間ですが、これを構成する細胞は、全く新しく生まれ変わったものなのです。
イメージしずらいですが、自動的に脱皮を何度も繰り返しているようなことなのでしょうか。
外部だけでなく、内部でも。
う~ん、不思議。
現代の生物学に至るまでの歴史書
本の前半では主に、生物学の歴史が語られています。
DNAの発見、2重螺旋の解明、4つのコードとペアリング、研究用機械の発明などなど……。
それぞれのエピソードにドラマがあり、楽しく読めるように仕上がっています。
私は文系出身なので、あまりに詳しい実験の説明となるとついていけない部分もあるのですが、歴史ドラマとなれば話は別です。
巧妙なのは、その歴史ドラマを知ることで、後に来る実験の説明がわかりやすくなるという点。
気付けば専門的な所を読んでいて、しかもなんだかわかりやすい!!
という感覚を、読んでいる内に何回か体験しました。
理系は難しいけど面白い。とんだツンデレちゃんだぜ
もうひとつ、この本の特徴をあげるとすれば、科学者らしからぬ文章のうまさです。
上記の、細胞の入れ替わりを、「砂上の楼閣」と例えたり、未解析のタンパク質を解明することを、「新種の蝶を発見すること」に例えたりします。
そしてその例えが、ことごとく分かりやすいものなのです。
おそらく、科学に詳しくない私のような人が読んでも分かりやすいよう心がけて書かれた本なのでしょう。
福岡さん、ありがとうございます。
まとめ
私たちはつい、「自分」と、「それ以外」という世界の見方をしてしまいがちです。
しかし実はそこには明確な境界線はなくて、私たちも世界の一部なんだなぁ。
そう感じさせてくれる一冊です。
単純に、生物ってなにか気になる方。
面白い科学書を読みたい方におすすめします。
生物と無生物のあいだ 講談社現代新書 福岡伸一
読者登録させていただいているあうろーさんのブログでも紹介されていました。
こちらもぜひ!
最後に
最後まで読んでくださりありがとうございます。
今日のオススメ本、いかがでしたか?
こんな時に読む本をお勧めしてほしい。などあれば、コメント等でお知らせください。私、とても喜びます。
読んだ感想などお聞かせいただければ、これもまた、とてもうれしいです。
ぜひ私と、読書体験を共有しましょう。
目的別おすすめ本度
自分を高めたい時に読む本:★★★☆☆ 3
理系:★★★★☆ 4
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