「阿蘇特有の地盤、被害広げた可能性」福岡教授

読売新聞 / 2016年4月19日 7時21分

奥、中央、手前の3方向へ広範囲に山肌が崩れ、建物がのみこまれた現場(18日午後3時6分、熊本県南阿蘇村で、読売ヘリから)

 16日未明に起きた最大震度6強の地震を受け、新潟大の福岡浩教授(地すべり学)が18日午後、安否不明者が出ている熊本県南阿蘇村の被害状況を読売ヘリから確認した。

 現場付近の斜面には、さらに崩れそうな亀裂が複数あり、福岡教授は、「救出作業にあたっている人が二次災害に遭う恐れがある。しっかり安全管理をしてほしい」と注意を呼びかけている。

 福岡教授によると、南阿蘇村 河陽 かわよう では、土砂崩れの起点となった場所から、3方向に大量の土砂が崩れ落ちているのが確認できた。このうち一番西にある土砂崩れで建物がのみ込まれていた。土砂はまず緩やかな斜面を下って建物を襲った後、方向を変えて北側の谷に向かった痕跡が見えた。福岡教授は「傾斜はそれほど急ではないが、大量の土砂が広範囲に流れたため、多くの建物がのみ込まれたのではないか」と述べた。

 土砂災害が起きた理由について、福岡教授は溶岩の上に、火山灰や火山灰が風化した土が積もった軟らかい地盤を挙げる。地震や大雨で崩れやすく、福岡教授は「阿蘇特有の地盤が被害を広げた可能性がある」と指摘する。

 阿蘇大橋を崩落させた土砂崩れが発生した現場でも、周辺に長い亀裂が何本も確認できた。福岡教授は「余震や雨でさらに崩壊が進む恐れがある」と警戒を促している。

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