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【芸能・社会】

NHKが菊之助密着特番を5・7OA 芸の継承に燃える姿追う

2016年4月19日 紙面から

 活躍目覚ましい歌舞伎俳優尾上菊之助(38)に密着したNHK「菊之助 挑む!〜歌舞伎を受け継ぐ男の試練〜」(仮題)が、5月7日午後3時5分から放送される。昨年7月に初めて挑んだ大役「義経千本桜 渡海屋の場・大物浦の場」の平知盛から、来月、長男和史君が初お目見えするまでを追う。親子4人の家族旅行の様子も初公開。菊之助の今が凝縮した50分だ。

 主に女形で修業を積んできた菊之助が、近年、立役にも積極的に取り組み、歌舞伎の継承者として苦悩しながら芸域を広げている現状を見つめる。昨年7月に国立劇場歌舞伎鑑賞教室で演じた知盛役は、ファンや関係者を驚かせた。名女形だった祖父尾上梅幸はもちろん父の尾上菊五郎も務めたことがない。家の芸の守備範囲にない時代物の大役への挑戦だった。

 また、昨年11月の全国巡業では、父の当たり役「魚屋宗五郎」の宗五郎役に初めてチャレンジ。音羽屋を継ぐ者として大きな一歩を踏み出した。今月、明治座で演じている近松門左衛門作「女殺油地獄」与兵衛は、上方もので初めての立役だ。

 それぞれ中村吉右衛門、菊五郎、片岡仁左衛門に指導を受けた。ほかに坂東玉三郎からの手ほどきもある。番組では貴重な稽古風景が明かされる。

◆菊之助に聞く 体から歌舞伎のニオイがする役者に

 −知盛役は、皆さんがびっくりでした。

 役へのあこがれというのはたくさんありますが、家によって得意な演目が作り上げられているので、挑戦したいと思ってもなかなかできない。だから歌舞伎鑑賞教室という場をいただいて、希望を出しました。

 −いずれは本公演でも。

 そうですね。「義経千本桜」の忠信、知盛、権太の三役は立役の卒業論文と言われていますし、ぜひ三役とも演じてみたいというのは、物心ついた時からありました。昨年、岳父の指導の下、(知盛を)できたというのはほんとにありがたい。

 −結婚もきっかけになりましたか。

 妻(吉右衛門の四女・瓔子さん)と結婚できて、一つのきっかけにはなったかもしれませんね。

 −菊五郎さんは、普段細かく指導されないそうですが。

 そうですね。今回は、珍しく細かかったですね。キーワードは与えてくれるんですけど、自分で考えさせる。

 −家族との時間も番組で紹介されます。

 自分がどういう風に家族と接しているのか、見るのが楽しみです。

 −今の菊之助さんは、何をテーマにどこへ向かっているんでしょう。

 芸の継承です。歌舞伎400年の伝統を体に染み込ませる時期。一生やっていくことだとは思うんですけど。三津五郎兄さんと勘三郎兄さんが亡くなったことって、大きな転機だったかも知れないんですけど、もっともっと気を引き締めて、先輩方が作ってくださったものを大事にするという気持ちですよね。体から歌舞伎のニオイ、板のニオイがする役者になりたい、そういうことを目指してるんじゃないですかね。  (本庄雅之)

◆長男和史君が来月初お目見え

 5月の歌舞伎座公演「団菊祭」の夜の部「勢獅子音羽花籠」で鳶頭を演じる菊之助の長男和史君が、初お目見えする。菊之助は、ほかに昼の部「寺子屋」の千代、「十六夜清心」の清心、夜の部「三人吉三」のお嬢吉三、「男女道成寺」の白拍子花子と全部で5演目で奮闘する。2〜26日。

 

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