九州新幹線、早期再開が絶望的
壁の落下が80カ所にも
14日の地震で熊本市の熊本駅近くで回送列車(6両編成)が脱線し、全線が運休している九州新幹線について、早期復旧が絶望的であることが国土交通省への取材で分かった。JR九州は14日の地震後、「ゴールデンウイークまでには迷惑がかからないようにしたい」と説明していたが、被害が予想以上に大きかったとみられる。
国交省によると、防音壁の落下が新たに約30カ所見つかり、これまでの判明分を加え計約80カ所に及ぶことが18日、分かった。さらにレールが複数箇所で変形し、レールを枕木に固定する金属製の装置が損傷していることも判明。損傷は一定の距離に及んでおり、回送列車が脱線して停止するまでの間、装置を壊しながら進んだとみられる。
JR九州は14日の地震後は、車両を撤去して、ゴールデンウイーク前の運行再開を目指すと説明していた。しかし、16日未明に熊本市などで震度6強の地震が発生し、被害が拡大したとみられる。
国交省によると、17日までに発見された高架橋の亀裂25カ所やホームを支える柱約20本の損傷は新玉名(熊本県玉名市)−新八代(同八代市)の約60キロの区間に集中している。
JR九州は18日、回送列車を線路に戻す準備を始めた。現場は川に近く地盤が軟らかいため、クレーンでつり上げられず、6両のうち1両を油圧ジャッキで垂直方向に持ち上げた。今後、横向きに移動させることができるかどうかを検討している。国交省の担当者は「高架の点検がまだ終わっていない。詳細調査も未着手で再開までにかかる期間は予想がつかない」と話した。【門田陽介、神崎修一】