「ツイッターのフォロー4月末めどに解除します」
理由は「公平公正の基本姿勢堅持のため」
NHKは18日、すべての公式ツイッターアカウントで、NHK以外のアカウントに対するフォローを4月末をめどに解除すると発表した。公式アカウントには、「ユルい」ツイートで話題になったNHK広報局(@NHK_PR)など、視聴者と互いにフォローするなかで豊かな関係を築いてきたものもある。一律のフォロー解除は、多様な視聴者の声に耳を傾ける手立てを自ら制限するものとして、疑問の声も出ている。
フォロー数が最も多いのは、NHK広報局(フォロー数約13万3000)で、他にNHK科学文化部(@nhk_kabun、同約10万)なども多い。
一律のフォロー解除の理由について、NHKは発表文で「NHKの公式アカウントがNHK以外のアカウントをフォローすることは、そのアカウントの意見に対する支持・賛同ではないか、という批判があった」と述べ、「NHKのインターネットガイドラインに定めた公平公正という公共放送の基本姿勢を堅持するためにはやむをえないと判断した」としている。なお、一部のアカウントでは、事件事故等の取材を申し込むために、他のアカウントを一時的にフォローする場合があるという。
今回のNHKの対応については、メディアと視聴者が双方向性の対話を重ねながら、一緒に物事を考えていく「ソーシャル・ジャーナリズム」の時代に逆行するという見方もあるが、NHKは「ツイッターは視聴者の皆さまとコミュニケーションを図るための重要なツールであり、それはこれからも変わりません」としている。
民放の在京キー局では、ニュース専門アカウントが局内の公式アカウントなどに絞ってフォローしている例はあったが、バラエティー系などを含む番組アカウントでは幅広く一般視聴者をフォローしている例も多い。
ある局の局員は「NHKのように一律ですべてのフォローをやめるようなことは社内で言われたことがない。視聴者と親密な関係を築くことが必要なケースもあれば、報道で独立した立場が求められるケースもあると思う」と話した。
フォロー解除を伝えるNHK科学文化部のツイートに対しては、「残念」「問題ありません。企業倫理は大切です」など、さまざまな返答ツイートが寄せられた。「かぶんさん(=NHK科学文化部アカウント)にフォローしていただいたのはとてもうれしかったことを思い出しました。ありがとうございました」と感謝の声もあった。【尾村洋介、大村健一/デジタル報道センター】
双方向性大事にするSNSのメディア特性を理解せず
山田健太・専修大教授(言論法)の話 NHKの今回の対応は(視聴者やフォロワーとの)双方向性を大事にするというSNSのメディア特性を理解していない。公共放送は幅広く視聴者の声を聞くことが大事で、そのためのツールを自分から閉めてしまうのは残念。NHKは、さまざまな批判にさらされるからこそ、多様な価値観に接していくことが大事で、ただ影響を避けたいと考えるのは逆方向だろう。